研究課題/領域番号 |
16H04240
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
西山 宏昭 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (80403153)
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研究分担者 |
馮 忠剛 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10332545)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プラズモン共鳴 / フェムト秒レーザ |
研究実績の概要 |
本研究では,プラズモニック金属構造のナノ形状制御手法として,金属ナノ構造上で生成した伝搬プラズモンモードによる多光子還元特性の評価と応用を目的として取り組んでいる.前年度までに,希薄AgNO3溶液内に配置した金属ナノ構造上へのフェムト秒レーザ照射で生成したプラズモンモードによって,回折限界を大きく下回るナノサイズのAg微粒子が析出し,その特性評価を行ってきた.一方で,溶液内プロセスであるため,局所的なエネルギー集中による局所加熱を介した溶液流れが生じ,微粒子の析出位置が変動する.本年度は,上記プラズモン励起を用いてナノスケールでの形状制御された金属周期構造の光学特性の解析と,プラズモンモード生成にともなって生じる溶液流れの影響を評価を行った.前者では,Agナノ粒子が直上または誘電層を挟んで配置された金属ナノ周期構造においては,ナノ粒子と金属周期構造間でギャップモード由来の強電場が生じることを解析的に示した.また,後者においては,微粒子分散溶液下での還元特性評価を行い,その中で,フェムト秒レーザ集光点近傍で生じたAgマイクロドットにおいて周辺微粒子が特異的に集積することが分かった.その挙動は,過去に報告されている溶液対流による緩やかな集積や輻射圧によるトラップとは大きく異なる特徴を示し,集光スポットの数倍の空間に存在する微粒子が一度に捕捉され,また微粒子が緻密に集積したマイクロ構造が形成された.今後,本課題から派生的に見出されたこの集積現象の機構解明とともに,同現象を用いた金属構造の形状制御手法への適用を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初研究計画に従い,研究が進んでおり,それに加え,関連する新規現象を見出すに至ったため.
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今後の研究の推進方策 |
プラズモニック金属ナノ構造上での多光子還元とそれによる金属ナノ形状制御について,H29年度までに構築した金属ナノ構造の上方および下方からの集光セットアップを用いて溶液対流の影響を明らかにするとともに,厳密形状制御手法への応用を進める.年度前半で光学解析によってより高いプラズモニック効果を示す構造の探索を行い,プラズモン援用多光子還元によって同構造の構築を目指す.また,本研究を通して派生的に見出された,フェムト秒レーザ照射による金属微細構造の周辺溶液内での微粒子の高速集積現象は,集積前後で金属構造の形状および屈折率分布を変調することから,本研究の主要課題であるプラズモン援用還元による金属ナノ形状制御について重要な知見を生み出すことが期待できる.よって,特性の異なるナノ粒子での比較や集光点での電界分布が与える影響を実験的に評価することで機構解明に取り組む.
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