研究課題/領域番号 |
16H04243
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 教和 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00359754)
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研究分担者 |
社本 英二 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20216146)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 工作機械 / 切削加工 / プロセスモニタリング |
研究実績の概要 |
提案手法を実現するには,切削プロセスと機械構造の動剛性の理論モデルに基づいて,モデルのパラメータを同定する新しいプロセスモニタリング技術を開発する必要がある.そこで,平成28年度には以下の研究を実施した. 1.機械構造に生じる振動の影響を考慮した時間領域切削プロセスモデルの開発 機械構造の振動変位とその再生効果を考慮した解析モデルとして,切削断面積の動的変動成分と切れ刃接触長さ成分に比例する機械的モデル(Mechanistic model)を開発した.また,加工の物理モデルを含む,解析的モデル(Analytical model)と機械的モデルを混合した高度な切削モデルを新たに検討した.本プロセスモデルの定式化を行い,解析ソフトウェア(時間領域シミュレータ)を開発して,その動作を確認した. 2.オブザーバ技術を利用した高精度外乱力推定モデルの開発 工作機械の送り系において,移動体および回転体に入力される推力と位置情報などから,単純な慣性系モデルを用いて外乱力を推定する外乱オブザーバを開発した.さらに,単純な超精密加工機を用い,外乱力推定が可能な周波数領域などの基本特性について評価を行った.加えて,ボールねじを用いる駆動系を想定し,多慣性系におけるオブザーバのモデル化を行った.同時に,エンコーダ以外のセンサを併用した外乱力推定についても検討を行った.検討の結果,汎用的な工作機械(マシニングセンタ)においては,外部センサを併用することで,広周波数帯域で比較的精度の高い外乱力推定を実現し得ることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り,最初にプロセスモデルの開発とオブザーバ技術の開発を実施し,シミュレータを開発した.さらに,汎用的な工作機械に対する検討も実施し,概ね期待通りの性能が得られることを確認した.このため,予定通り研究を進展することで,今後の発展が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成28年度に得られた成果を踏まえ,提案手法の実現を目指して,主に以下の検討を行う.これにより,提案手法の開発を一歩ずつ進め,評価結果に基づき適宜修正を行いながら,提案するプロセス同定を実現する新手法の確立・実用化を目指す. 1.加工プロセス・伝達特性の同定および工具摩耗・加工精度の推定アルゴリズムの開発 2.工作機械を用いた加工実験による提案手法の実行可能性の検証
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