骨切除用研削工具,すなわちダイヤモンドバー(ダイヤモンド砥粒を用いた電着砥石)の開発については,工作機械としてマシニングセンタを用い,三分力動力計や熱電対などの各種センサを搭載した骨切除実験系を構築し,外科手術を模擬した詳細な加工実験を可能にした.そして骨切除時に切除部位に対して供給する冷却水として用いる生理食塩水の供給量や方法を変化させたり,特定の物質を添加したりなど,多くの加工実験を実施した.その結果,骨切除時の温度変化には3つのフェーズがあることを新たに見出した.そして温度上昇抑制には各フェーズに対応した解決手段が求められ,検討の結果,切除用工具であるダイヤモンドバーの表面を超撥水化する,さらにはわずかな剥離性を保有させる,といったことにより温度上昇を抑制することに成功した. 皮膚切開用工具の開発については,皮膚(柔軟物)切開に関する基本的な実験系を構築し,切開時に発生する力および切開対象物の変形量をリアルタイムで評価することができた.
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