外科手術,特に脊椎外科手術の分野では小径軸付き研削工具(ダイヤモンドバー)を用いた骨組織切除時の発熱による神経侵害,それによる後遺症麻痺が大きな問題となっている.これを解決するために冷却を目的とした生理食塩水の供給法に関する開発が外科分野において行われてきたが,実用上の致命的な問題がある. そこで本研究では切除時の発熱のメカニズムを詳細に検討し,骨切りくずが研削工具表面に付着することが主要因であることを突き止めた.そして付着を抑制するために,研削工具表面を撥水化する,具体的には表面エネルギを低下させるためにCF3表面処理およびポア構造を形成することで,加工熱を抑制することに成功した.
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