研究課題/領域番号 |
16H04248
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡田 晃 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60263612)
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研究分担者 |
岡本 康寛 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40304331)
篠永 東吾 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60748507)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 電子ビーム / 表面仕上げ / 金型 / 電子軌道 / 熱伝導解析 |
研究実績の概要 |
大面積パルス電子ビーム照射による高能率表面仕上げにおいては、工作物表面形状に凸部を有する場合、電子ビームがそこに集中することで工作物の形状を変化させる可能性がある。また、高低差のある表面形状では、低部や凹部への電子ビーム照射が不十分なため,その部分での平滑化が困難である。 これらを解消し本加工法の高性能化を図るために、本年度はまず、大面積電子ビーム照射装置を再現した解析モデルを構築し、電子軌道解析による工作物凹凸表面上での電子ビームのエネルギー密度分布を求め、またそれを基に熱伝導解析を用いて表面温度分布、ならびに材料除去状態と形状変化の定量的予測を行った。一方、実験による表面形状変化を調査し、解析結果の検証も行った。さらに、磁場による電子ビーム軌道制御の可能性を探るため、工作物下部に磁石を設置し、その位置を変化させた場合の電子ビーム照射位置の追従を調査した。その結果、以下の知見を得た。 1)電磁場解析モデルにより、電子ビーム照射時の装置内の電磁場、ならびに電子の軌道を解析できた。電子ビーム径の測定実験によって得られた照射距離による大面積電ビーム径の変化は電子軌道解析結果と定量的に一致し、構築した電子軌道解析モデルの妥当性が示された。 2)電子軌道解析によって得られた凸形状におけるエネルギー密度分布、および電子ビームの貫入現象と材料の潜熱を考慮した熱伝導解析モデルによって照射時の表面近傍の温度分布を再現でき、またそこから求まる形状変化は実験結果とよく一致した。これにより大面積パルス電子ビーム照射による工作物表面形状変化を予測できる。 3)非磁性の工作物材料の下部に磁石を設置すると、電子ビーム照射時の鉛直方向の磁力線が磁石に集中することによって電子ビーム照射位置を制御することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題もなく当初の計画通り研究を遂行しており、それぞれの検討項目で有益な知見を確実に得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、28年度に構築した電子軌道解析モデルと熱伝導解析モデルを活用し、照射条件を変化させた場合の工作物形状変化の実験的・解析的検討を行う。併せて照射面に形成される再凝固層厚さの高精度予測の可能性ついても実験による検証を行いながら検討する。 一方、コーナー形状への電子ビーム集中現象を利用したエッジ処理として、微細バリ取り実験とエッジラウンディングの基礎検討を実施していく。
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