研究課題
高性能磁石の代表例である焼結ネオジム磁石は,焼結体から機械加工により1mm以下の薄板に加工する場合,磁気特性劣化が顕著である.また,厚さ1mm以下の磁石を有効に使うためのサブミリオーダピッチのパルス着磁は,着磁コイルの細線化とジュール発熱によるコイルの溶断から,不可能である.これらの制限は,ネオジム磁石を用いるスマートフォンのレンズ駆動アクチュエータや情報記憶装置用アクチュエータなどの小型化や多自由度化の大きなボトルネックとなっている.本研究では,焼結磁石の低ダメージ薄板加工法,ボンド磁石やPLD(パルスレーザ堆積法)磁石の薄板成形法を検討するとともに,得られた薄板磁石の微細加工,微細着磁パターンを形成する手法の研究開発,また,それらの技術を組合せたマイクロ多自由度アクチュエータの実現を目的とし,磁石の微細加工,微細着磁,応用までを含めた総合的な研究を実施する.平成29年度は,放電加工機によって薄板加工した焼結ネオジム磁石に対して,局所的にレーザ加熱し,磁化反転する手法で,碁盤の目の状にNS着磁された磁石アレイを作成した.これと,PCBボードに製作した2層のミアンダ状マイクロコイル,磁石アレイを支持案内するシリコン弾性案内からなる2自由度駆動マイクロアクチュエータを試作,それを用いた位置制御実験を実施した.また,シリコン・酸化シリコン上にPLDにて高速堆積した厚膜磁石に,レーザ加熱により,微細磁気パターンを形成する実験も合わせて実施した.
1: 当初の計画以上に進展している
予定より早くマイクロアクチュエータの試作に着手できている.
マイクロアクチュエータの位置決め制御の結果,高周波駆動する場合,位置決め方向以外の振動が励起されることが明らかになり,現在,マイクロ案内の再設計を進めている.また,本研究の技術に対して,数社の企業が,別の用途での利用を打診してきており,当初の計画に加え,それらのニーズを踏まえつつ,研究を進展する予定である.
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IEEE Transaction on Magnetics
巻: 53 ページ: -
10.1109/TMAG.2016.2633362
まぐね
巻: 12 ページ: 26-30