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2017 年度 実績報告書

人工ヘアピン渦列攪乱によるEdge of Chaosの探究

研究課題

研究課題/領域番号 16H04260
研究機関北海道大学

研究代表者

田坂 裕司  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00419946)

研究分担者 村井 祐一  北海道大学, 工学研究院, 教授 (80273001)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード亜臨界乱流遷移 / ヘアピン渦列 / マイクロバブル / 流れ制御
研究実績の概要

イギリス・マンチェスター大学のMullin教授(現・オックスフォード大学)から譲り受けた円管内流の実験装置を北海道大学にて再構築し,過去の研究成果の再現実験を行った.この装置に前年度までに開発したシンセティックジェットアクチュエータ(SJA)を設置し,SJAにより管内に生成されるヘアピン渦列の個数が流れの乱流遷移に与える影響を調査した.この個数はSJAが注入する噴流の回数と対応する.攪乱注入口から十分下流の位置で,可視化およびレーザードップラ流速計により乱流パフの存在を確認した.その結果として,(1)ある数までは渦の個数が偶数か奇数かによって明瞭に乱流パフの下流での存在確率が変化すること,(2)ある数までは存在確率が渦の個数に対して増加するが,それを上回ると1度減少することを見いだした.(1)についてはその理由がまだ不明であるが,(2)については連続して形成されたヘアピン渦列により先に形成された乱流パフに,後方からそれに続くヘアピン渦(列)が突入することにより乱流の維持機構が壊れ,存在確率が低下したと理解している.なお,別途行った連続噴流注入による実験においても同様の結果が得られた.すなわち,攪乱の注入時間を増加させると,あるところで1度乱流パフの存在確率が下がる.
フランス・ルアーブル大学と共同で行った,急拡大管の亜臨界不安定遷移に関する実験で,噴流の連続注入,連続吸い出し,SJAのそれぞれについて,パラメータを変化させ遷移過程や遷移の有無を調査した.それらの結果は英文誌に投稿中である.
微細気泡を含む場合の乱流パフの形成について論文をまとめ,学会誌に掲載された.また,気泡の運動方程式をもとに乱流パフ内の気泡運動を推測する数値計算を進めた.
リニアスライダを購入し,攪乱の成長過程や乱流パフの減衰過程を計測するシステムを構築した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画通り,(1)SJAにより形成されたヘアピン渦列が乱流遷移に与える影響を,北海道大学で新たに構築した12mの塩管内流実験装置,ならびにルアーブル大学の急拡大管装置において検証することができた.後者に関しては,結果を論文に投稿することができた.(2)微細気泡が乱流遷移に与える影響について,実験結果を論文にまとめて発表することができた.また,気泡の運動に関して数値計算をすすめ,成果が得られつつある.(3)リニアスライダによる追跡計測システムを構築することができた.

今後の研究の推進方策

平成29年度までの研究が,論文による成果報告を含めておおむね計画通りに進展したことを考えて,最終年度である平成30年度の研究は研究計画に沿った継続を行うとともに,新たなテーマを設定して進める.
(1)前年度までに調査した,SJAが生成するヘアピン渦列攪乱と乱流パフ生成確率(生存率)について,実験条件を増やして調査を行い,結果をまとめる.可能であれば粒子画像流速計を用いた詳細な流れ場計測を行い,生成・崩壊過程について記述する.
(2)乱流パフ内の気泡挙動を予測する数値計算を完成させ,気泡が群を形成することを示す.また,実験により乱流パフを通過した気泡群の分布を計測し,非一様性について議論する.過去に行われた,気泡群が渦構造に変調をもたらす研究との比較などから,気泡が乱流遷移にもたらす影響を明らかにする.過去に計測した,気泡を含むあるいは含まない場合の乱流パフ内の速度変動を詳細に解析し,そこに差違があるかを調べる.
(3)リニアスライダを用いた流れの追跡計測装置を用いて,(1),(2)のそれぞれのテーマで計測を行う.
(4)新たなテーマとして,下流の円管内部に超撥水コーティングを施し,乱流の維持機構に与える影響を調査する.これに関しては,イギリス・オックスフォード大学のFin Box博士との共同研究であり,議論をしながら進める.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] ル・アーブル大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      ル・アーブル大学
  • [国際共同研究] オックスフォード大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      オックスフォード大学
  • [雑誌論文] 管内流れの局所乱流塊形成におけるマイクロバブルの影響2017

    • 著者名/発表者名
      中村幸太郎,田坂裕司,村井祐一
    • 雑誌名

      日本混相流学会論文集

      巻: 31 ページ: 20~28

    • DOI

      10.3811/jjmf.31.20

    • 査読あり
  • [学会発表] Growth of finite amplitude disturbances in pipe flow with sudden expansion2017

    • 著者名/発表者名
      S. Ishizaka
    • 学会等名
      70th Annual Meeting of the APS Division of Fluid Dynamics
    • 国際学会
  • [学会発表] Creations of a turbulent puff in a pipe flow with dilute microbubbles2017

    • 著者名/発表者名
      K. Nakamura
    • 学会等名
      70th Annual Meeting of the APS Division of Fluid Dynamics
    • 国際学会
  • [学会発表] 急拡大管内流れにおける有限攪乱の過渡的成長について2017

    • 著者名/発表者名
      石坂俊
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2017
  • [学会発表] 管内流に形成される乱流パフによるマイクロバブルの集積について2017

    • 著者名/発表者名
      中村幸太郎
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2017

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-06-10  

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