初年度は、過冷却から氷晶形成過程に移行する直前に実験が開始できるような体制作りに専念した。そのためには、(1)標準水水として使う試料水の過冷却を生じる条件を見出すことと、試料水に磁性体微粒子が均一に分散する方法の確立、(2)SQUID(超伝導量子干渉素子装置)によるマグネタイト磁性体微粒子を添加した試料水に浮遊するマグネタイト含有量と濃度の推定法の確立、C)静電界中でコロナ風を発生させるコロナ放電電極の製作であった。平均50nm のマグネタイト磁性体微粒子が試料水に均一に分散させることは困難であった。最初は、市販のマグネタイト微粒子(平均粒径50nm)乾燥粉末を購入し、試料水中に均一分散させたが、磁性体微粒子は、一旦乾燥されて凝集されると、その磁性故、均一再分散させるには、消磁することが必要であり、それでもある一定以下にできないことがわかった。そこで、マグネタイト微粒子をウエット沈殿法で生成し、かつ未乾燥の状態にある水溶液中マグネタイト微粒子50nmを使用することにした。均一分散法としては、特に消磁手法は使わずに、上澄み手法という手法を考案した。マグネタイト微粒子の含有量の測定として、縦型超伝導量子干渉素子装置を用いた。コロナ放電電極の製作では、最初タングステン針を用いて、モデル電極のデザインと製作に専念した。しかし極低温下で用いることを予定しているため、材質を純チタン製に変更した。純チタンは、はんだ付けが難しく、時間を要した。コロナ放電を発生させるに必要な高圧電極の組みたてを終えた。
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