研究課題/領域番号 |
16H04277
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松田 佑 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (20402513)
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研究分担者 |
新美 智秀 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70164522)
江上 泰広 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80292283)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 単一分子計測法 / 熱物性 |
研究実績の概要 |
研究初年度にあたる本年度では,単一分子計測システムの構築と単一分子軌跡の解析法ならびに適切な色素分子(プローブ分子)の選定を実施した. 単一分子計測システムに関し,従来の我々のシステムでは全視野(wide-field)型の光学系を採用していた.しかしこのシステムでは励起光軸方向へのプローブ分子の動きが誤差要因になること,また焦点面外からの蛍光発光によるSN比の低下などの問題があった.そこで,ニポーディスク共焦点顕微鏡システムを導入することで,画像取得のフレームレートを低下させることなく焦点面のみの蛍光画像の取得が可能なシステムとした.また下記で選定したプローブ分子に適した光学フィルター及びレーザー光源の選定を行った. 単一分子軌跡の解析法に関し,従来は一般にプローブ分子の平均二乗変位(MSD: Mean-Squared Displacement)によるプローブ分子運動性の評価が行われていた.しかしこれではプローブ分子の空間2次元時系列データを十分に活用しているとは言い難い.そこで本研究では,プローブ分子移動の角度方向の情報を活用した新しい解析法の提案を行った.これにより,プローブ分子の運動軌跡からプローブ分子の形状の推定や軌跡の非等方性を少ない軌跡データから抽出することが可能となった. 色素分子(プローブ分子)の選定に関して,単一分子計測法ではプローブ分子として用いる蛍光分子のサイズや形状が実験結果に大きな影響を及ぼす.そこで本研究ではターゲットとする現象に適した蛍光分子の選定を行った.特に,分子サイズ,蛍光の量子収率,光耐性の面から検討を重ねて,適していると考えられる分子を2種類選定した.両者は,同一の励起光源で励起発光が可能なために,同一の計測システムにおいて適宜使い分けることが可能である.また予備実験を実施し,ターゲットとする現象の解析に適していることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記,概要に示したように当初の計画・目標の通りに研究の実施が行えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当初計画の通り,今年度において構築した計測システム,提案した解析手法,選定したプローブ分子を用いて実際の高分子液体のナノスケールでの熱物性評価を実施する.また同一試料のマクロスケールでの熱物性のふるまいに関しても同時に評価を行う.
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