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2017 年度 実績報告書

無機‐有機材料界面に生じる熱抵抗メカニズム解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 16H04282
研究機関九州工業大学

研究代表者

宮崎 康次  九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70315159)

研究分担者 高尻 雅之  東海大学, 工学部, 教授 (50631818)
トランシャン ローラン  九州工業大学, 大学院工学研究院, 特任助教 (50754785)
矢吹 智英  九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70734143)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード熱伝導率 / 薄膜 / 有機ー無機コンポジット / 熱電変換
研究実績の概要

有機材料にポリイミド薄膜(スピンコーター塗布)、無機材料にビスマステルライド薄膜(パルスアークプラズマ蒸着)として膜厚を制御した積層薄膜を利用して測定した界面熱抵抗の値を用いて、バルク状材料に適用する通常の熱伝導数値計算を実施し、これまで同材料の混合物として得られていた低い熱伝導率が定量的によく説明できることを示した。ポリイミド薄膜の代わりに有機材料をPEDOT:PSS薄膜(スピンコーター塗布)とした場合でも大きな熱抵抗が測定され、無機‐無機材料の界面熱抵抗の10倍程度大きい値となった。この大きな界面熱抵抗値を用いると、ポリイミド-ビスマステルライド混合物薄膜と同様に熱伝導数値計算を実施したところPEDOT:PSS-ビスマステルライド混合物薄膜の低い熱伝導率が定量的によく説明できた。走査型電子顕微鏡(SEM)で界面を観察し、異種材料薄膜間に空隙は観察されなかったため、密着性が高い状態であるにも関わらず大きな界面熱抵抗が発生していることも明らかとした。結果、大きな界面抵抗は、界面の形状に起因しているのではなく、材料の組み合わせ(例えば有機材料と無機材料の大きな特性の違い(比熱、音速など))に起因していると考えられる。このようにナノ粒子混合物薄膜の熱伝導率予測手法として、従来の計算手法と切り口を変えて、界面熱抵抗の概念を導入すると簡便に見かけの熱伝導率を予測できる可能性を示すとともに、有機-無機混合物の塗布による薄膜生成が低い熱伝導率で高い変換効率を示す熱電デバイスの生成に適していることも示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

有機-無機コンポジットとして、ポリイミド-ビスマステルライドに加え、PEDOT:PSS-ビスマステルライドについても界面熱抵抗を測定し、有機-無機材料界面特有の現象でありうるデーターを取り続けている。これらの成果を関連国際会議で発表した。
測定のダブルチェックのためにサーモリフレクタンス法にも取り掛かるため、出力が安定している温度測定用の可視光レーザーも購入した。さらに有機-無機材料界面の熱抵抗を調べるため、分子動力学ソフトウェアも導入し、計算も開始している。

今後の研究の推進方策

数値計算を本格化し、界面熱抵抗発生メカニズム解明に取り組む。サーモリフレクタンス法を修得し、実験データのダブルチェックをするとともに、現象の理解に努める。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (12件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 有機・無機複合材料の低熱伝導率を利用した熱電特性向上2018

    • 著者名/発表者名
      宮崎 康次
    • 学会等名
      第65回 応用物理学科春季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] ビスマステルライドー導電性材料コンポジットによる熱電変換デバイス2018

    • 著者名/発表者名
      宮崎 康次
    • 学会等名
      第65回 応用物理学科春季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] Enhanced Thermoelectric Properties in a Printed Material2018

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      TMS2018, 147th Annual Meeting & Exhibition
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Printed Flexible Thermoelectric Device of the Organic/Inorganic composite2018

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      International Conference on Organic and Hybrid Thermoelectrics 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] Organic-inorganic Thermoelectric Material for a Printed Generator2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      PowerMEMS2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Interfacial Thermal Resistance between Polyimide and Bismuth Telluride2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      International Symposium on Measurement Technology in Thermal Science and Engineering
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 印刷による熱電発電モジュールの作製2017

    • 著者名/発表者名
      宮崎 康次
    • 学会等名
      高分子討論会
    • 招待講演
  • [学会発表] 有機ー無機コンポジットによるフレキシブル熱電発電デバイス2017

    • 著者名/発表者名
      宮崎 康次
    • 学会等名
      第78回 応用物理学会秋季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] Interfacial thermal resistance between bismuth telluride and polyimide2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      IUMRS-ICAM 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] In-plane and cross-plane thermal conductivity of Bismuth Telluride thin film2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      36th International Conference on Thermoelectrics
    • 国際学会
  • [学会発表] Printed thermoelectric device2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Miyazaki
    • 学会等名
      9th US-Japan Joint Seminar on Nanoscale Transport Phenomena
    • 国際学会
  • [学会発表] 3オメガ法によるポリイミドービスマステルライドの界面熱抵抗測定2017

    • 著者名/発表者名
      栗山洸,濱翔太,矢吹智英,宮崎康次
    • 学会等名
      第54回日本伝熱シンポジウム
  • [図書] フレキシブル熱電変換材料の開発と応用 第II編 第9章2017

    • 著者名/発表者名
      宮崎 康次
    • 総ページ数
      10
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      9784781312552

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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