研究課題
健常な人の起立動作は4つの筋シナジーから説明され,各筋シナジーは上体の前屈,離床,全身の伸展,姿勢の安定化の役割を担っている.一方で脳卒中などの脳損傷によって片麻痺などの後遺症が残ると,筋シナジーを適切に活動させられず,運動機能が低下してしまう.このような片麻痺患者の運動機能を効果的に改善するには,片麻痺患者が活動させるのが難しくなった筋シナジーを同定し,それぞれの症状に適合したリハビリテーションを行うことが重要である.そのため本研究では,50名以上の片麻痺患者を対象に運動計測実験を行い,運動時の身体軌道,筋活動,臀部と足部の床反力を計測し,各被験者の筋シナジーを算出した.その結果,片麻痺患者においても健常者と同じような筋協調があるものの,それらの活動タイミングが変化していることが分かった.またそれらの活動タイミングにおける特徴量(ピークタイミング,活動時間,開始時間,終了時間など)をもとに機械学習アルゴリズムを使って,健常者と片麻痺患者を区別するための特徴量と患者の重症度に寄与する筋シナジーの特徴量の同定を行った.その結果として,脳損傷の結果で片麻痺になると,主として筋シナジー2(離床)の活動タイミングを調整できなくなるということが分かった.また異なる重症度の片麻痺患者を比較すると,先の筋シナジー2に加えて,重症度が高い患者では姿勢の安定化に寄与する筋シナジー4の活動が困難になることが新たに分かった.これらの結果から,身体機能の回復には離床や姿勢の安定化に寄与する筋シナジーの活動を改善することが重要であることが分かった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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