研究課題
本年度は、前年度までに開発した水蒸気凝固止血装置を発展させ、水蒸気噴流を用いた血管封止装置の開発を行った.はじめに、血管封止において重要なパラメータを定めるため,水蒸気噴流による血管の表面から血管内部までの熱伝達・熱伝導の解析を行った.結果として,表面における熱伝達,および血管の内部までの距離が大きく影響することが確認された.この結果を基に欠陥の挟持部、水蒸気噴霧部の設計を行い,水蒸気噴流による血管封止装置の試作を行った.次に、試作機を用いて,ブタの血管の加熱実験を行った。加熱した血管の病理標本を作製し,組織の観察を行ったところ,水蒸気の潜熱が血管内部のタンパク質変性を引き起こし,血管を封止できていることが確認された.また,血液が灌流している状態の血管に対して封止効果を検証するため,ブタを用いたin vivo実験を行った.実験では,ブタの大網を通る直径約1mmの血管を挟み,水蒸気噴流を作用させた.結果,約3秒で血管を封止し,血管切断時に出血を生じないことが確認された.さらに、本年度は腹腔鏡手術において使用されるトロッカーを安全に迅速に挿入可能な装置の提案、開発を行った。試作したデバイスは、片手で持てるピストル型の構造となっており、市販のトロッカーを装着し、モータによる送り機構によって半自動的に挿入できるものとなっている。空気圧シリンダを介して腹壁を吸引することにより反力を生成しており、この反力から挿入力をモニタしながら挿入できる構造としている。トロッカーが腹壁を貫通する際の挿入力の挙動を解析し、この結果に基づいて挿入力から貫通を検出するアルゴリズムを構築した。これにより自動的に挿入を停止する機能を実現し、模擬腹壁を用いた実験により有効性を示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Bioscience, Biochemistry and Bioinformatics
巻: 9 ページ: 1~8
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Journal of Mechanics in Medicine and Biology
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http://dx.doi.org/10.1142/S0219519418500252