本研究は、カタツムリの動作を参考に、凹凸・ひび割れ・汚れを伴う壁面や天井において、吸着したまま推進可能な新しい移動体の基盤技術の構築を目指した。移動体は、空気圧により進行波を生成する柔軟駆動部と、せん断応力や吸着力が速度により変化する粘液から成る。これにより、収縮波が尾部から頭部に進行する間せん断応力は減衰し、波間では吸着力を生成できる。当該原理をもとに、コンクリート構造物の老朽化検査への応用も視野に入れ、1)進行波を生成する柔軟アクチュエータの設計法、2)粘液による吸着特性の解明、3)繊毛構造の設計法、4)人工粘液の精製法、などを検討し、試作機を用いた実験により、提案手法の有効性を確認した。
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