研究実績の概要 |
ソフトマテリアルはその低い弾性から, 環境に応じてその形状や体積を変化させることが可能である. この性質を利用して, 相手側の形状に依存しない作業が可能なソフトロボットの研究が盛んに行われている.申請者は自律的に運動を生成する自律駆動ゲルに着目した.金属錯体イオンを高分子鎖に化学的に組み込むことで合成された自律駆動ゲルは,強酸,還元剤,有機酸を混合した系内で振動反応で知られるベローゾフ・ジャボティンスキー反応をゲル内で誘起させると,ゲルがその反応と同期して周期的に体積を膨潤,収縮させることができる.本研究ではまずはじめに,ゲルの応力と歪の関係について明らかにすることで,自律駆動ゲルの出力を最大化するした.これまで自律駆動ゲルが生成する仕事が小さいため,アクチュエータとしての機能性が制限されてきた.我々は自律駆動ゲルが酸化状態と還元状態において,一定の歪を加えた状態で弾性率が大きく変化することを見出した.その結果,自律駆動ゲルへある程度張力を加えることで有効な仕事を取り出すことに成功した.さらに自律駆動ゲルへ加える力の境界条件によって,収縮波が観測された.さらに周期的な外力を加えると外力の周期と同期する条件が存在すること,歪を加えることによって反応を誘起できることも見出した.つまり,力によって自律駆動反応ないにおける化学反応ネットワークを外力によってフィードバックできることが明らかとなった.
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