研究課題/領域番号 |
16H04309
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
辻田 哲平 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (40554473)
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研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00217548)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 特任准教授 (10447162)
安孫子 聡子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40560660)
近野 敦 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90250688)
佐瀬 一弥 東北学院大学, 工学部, 助教 (20805220)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MR流体 / 機能性流体 / バーチャルリアリティ / 離散要素法 |
研究実績の概要 |
MR流体を用いた遭遇型力覚提示装置のモデルベース設計のために,術具が流体中を移動する際の分散粒子の挙動を数値シミュレーションで解析し,発生抵抗力を算出可能なフレームワークの高速化を行った.離散要素法を用いMR (Magnetorheological) 流体を強磁性体粒子が分散媒中に存在する一般的な固液二相流としてモデリングし,磁場を印可すると鎖状クラスタが形成され,このクラスタを切断するときの切断抵抗力を計算することが可能である.マルチコアCPU/GPUを用いた高速化により計算できるMR流体の体積を0.8x1.9x1.0 [mm]程度まで拡大した.これまでの切断抵抗力での評価に加え,流れ場を可視化することで粒子の挙動の評価を行った.シミュレーションと同容量の流体を切断しデジタルマイクロスコープで鎖状クラスタの挙動を撮影可能な可視化実験装置を開発した.撮影した映像をPIV解析することで,シミュレーション結果と定量的に比較することが可能である.また,切断抵抗力や流れ場の可視化といった定量的評価に加え,官能試験によってMR流体による生体組織切断感覚提示手法の評価を行った.生体軟組織等の実物を切断した場合と,MR流体によって再現した場合の違いをヒトがどのように感じているかを複数の被験者に対してアンケートを行うことで明らかにした. これらのMR流体に関する基礎研究に加えて手術シミュレータのシステム構築も行っている.有限要素法に基づき生体軟組織をモデリングし,この仮想臓器をヘラで圧排した際の反力を数値計算で求め,本研究で開発中の力覚提示装置にて実際のヘラを介して求めた反力を操作者に提示できるようにした.本システムについて,IEEE ROBIO 2018にて発表し,Finalists of Best Conference Paperに選出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロスコープを使った可視化実験を行ったところ,数値シミュレーションによって予測した鎖状クラスタ切断時の流れ場と異なった流れ場が観察された.数値シミュレーションでは壁面近傍の粒子を固定する境界条件を設定していたが,可視化実験結果では壁面と粒子の間に滑りが発生しており,鎖状クラスタが切断されつつ,切断方向に全体的に滑っていく現象が見られた.このため,数値シミュレーションの境界条件について検討する必要がある.また,既製品の流体で使用されている分散媒等の成分が明らかにされていないため,物性値が不明といった問題があり,シミュレーションの高精度化に課題を残している.
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今後の研究の推進方策 |
これまで既製品の流体を購入して使用していたため,物性値が不明といった問題があった.そこで,強磁性体粒子と分散媒を自ら選定し,調製することでそれぞれの成分が明らかなMRを使用することとする.これを用いて,各成分の物理特性を個別に取得し,数値シミュレーションに反映する.
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