研究課題/領域番号 |
16H04329
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中村 雄一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20345953)
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研究分担者 |
後藤 太一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00721507)
井上 光輝 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90159997)
高木 宏幸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40390463)
内田 裕久 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30271000)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 相分離型マルチフェロイック材料 / 磁気光学効果 / 強誘電材料 |
研究実績の概要 |
① 相分離型マルチフェロイック材料の構造設計と作製方法の検討 相分離型マルチフェロイック材料の構造と特性の関係を評価するため、強磁性体と強誘電体の大きさ・寸法をパラメータとして有限要素法による応力解析を行った。その結果、強誘電体マトリクスの内部に厚さ方向に細長い強磁性体を埋め込んだ場合に強磁性体全体に一様な応力・歪みが印加できることがわかった。 まず下部電極としてTi/Ptを形成したチタン酸ストロンチウム(STO)基板上に、有機酸塩塗布熱分解法(MOD)法により良好な誘電特性を示すPZT膜を形成する条件を見いだし、磁性ガーネットおよびPZTを成膜する条件を確立した。それを踏まえ、相分離型マルチフェロイック薄膜の動作検証として、強磁性体として磁性ガーネット、強誘電体としてPZTを用いた複合膜を既存の半導体プロセスを用いて作製を試みた。RFスパッタ法により、Bi置換希土類鉄ガーネット膜を成膜し、エッチング法により数ミクロン角のピクセル状に加工し、スパッタ法あるいはMOD法によりPZT膜を形成した。結果として、MOD法でPZTを形成した複合膜において、単相膜と同様の誘電分極特性が得られることを確認した。またパルスレーザー堆積法(PLD法)により強磁性体(磁性ガーネット)および強誘電体(チタン酸バリウム、PZT)の成膜条件について検討し、単相膜が得られる条件を確立した。 ② 磁性フォトニック結晶(MPC)構造の形成方法の検討 従来、我々が用いていたMPCではSiO2とTa2O5を誘電体ミラーとして用いてきたが、磁性ガーネットの結晶化に必要な温度域でTa2O5が結晶化して特性が低下する課題があった。その結晶化を抑制するため、Y2O3を添加したTa2O5を用いることで、磁性ガーネットの結晶か温度を経験しても良好な特性を有するMPCが得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相分離型マルチフェロイック薄膜の形成と磁気光学光制御デバイスとしての動作検証に向けて、シミュレーションによる構造解析により、複合膜の構造とそのときに期待できる応答を評価し、有効な特性が得られるであろう構造を求めた。またシミュレーション結果を踏まえ、原理実証のための試料作製を進めるとともに、所望の特性を得るための試料作製条件を検討し、単相膜の条件を確立できた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
相分離型マルチフェロイック薄膜の形成と磁気光学光制御デバイスとしての動作検証に向けて、まずは半導体プロセスによるモデル構造の作製とその動作の評価を行い、シミュレーション結果と比較することで、シミュレーションの妥当性について評価する。両者に差異が生じた場合、その原因を評価し再度シミュレーションにフィードバックすることで、シミュレーションによる構造設計の精度を向上させる。またPLD法による相分離型マルチフェロイック薄膜形成条件を確立し、その特性の評価を行う。そのために成長に適した基板および成膜条件について検討し、得られた材料の構造についてTEMなども用いて評価することで、成膜条件、得られる相分離型薄膜の構造、およびその特性の関係を明らかにし、良好な磁気光学変調特性を有する材料の作製条件を明らかにする。
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