研究課題
光ファイバ1本当たりのコアが一つだけの従来のシングルコア単一モード光ファイバでは、耐非線形性、耐フューズ性、および伝送帯域の制限から、近い将来に伝送容量の限界に突き当たることが予想されている。本研究では、光ファイバ通信の限界を打ち破る方法として、1本の光ファイバに多数のコアを収容したマルチコアファイバ技術と、一つのコアの中を伝搬する複数の固有モードを利用したマルチモード伝送技術を組み合わせることにより、伝送容量の飛躍的な拡大を可能にする空間分割多重伝送技術を確立することを目的として研究を進めた。平成28年度の研究では、マルチコアマルチモードファイバに関して、非結合型4LPモード(6モード)マルチコアファイバの設計を行い、マルチコアファイバのコア数とコア配置依存性を詳細に調査した。その結果、同種4LPモード19コアファイバにより、従来のシングルコア単一モード光ファイバと比較した相対コア多重度指数として60以上が実現可能であること、および異種4LPモード21コアファイバにより、相対コア多重度指数65以上が実現可能であることを明らかにした。また、モード間群遅延時間差を低減可能な結合型マルチコアファイバに関して、プリンシパルモード解析に基づく群遅延時間算出法を開発した。さらに、マルチコア・マルチモード伝送を実現するためのモード制御技術に関して、平面光導波路に基づくモードスクランブル型モード合分波器、および平面光導波路に基づくモード交換器の構成法を提案した。
2: おおむね順調に進展している
マルチコアマルチモードファイバによる伝送容量の飛躍的な拡大へ向けて、当初の計画通りに研究が進展している。
高チャネル数と高空間多重密度を両立するマルチコアマルチモードファイバを考案し、クラッド外径、コア間クロストーク、および相対コア多重度指数の関係を明確化する。具体的には、光ファイバの機械的信頼性を確保しつつ、チャネル数100以上、相対コア多重度指数100以上を有するマルチコアマルチモードファイバの実現を目指す。また、モード多重伝送用結合型ファイバを対象として、コア数、モード数の拡大、コア密度の向上法について、ファイバの断面構造設計を中心に、実効屈折率、モード間群遅延差、コア間結合係数の観点から詳細に検討し、モード間群遅延時間差の低減に関する設計指針を明らかにする。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 9件、 招待講演 2件)
Optical Fiber Technology
巻: 35 ページ: 80-92
10.1016/j.yofte.2016.08.002
Optics Express
巻: 25 ページ: 5697-5709
10.1364/OE.25.005697
巻: 24 ページ: 9593-9591
10.1364/OE.24.009583