光ファイバ1本当たりのコアが一つだけの従来のシングルコア単一モード光ファイバでは、耐非線形性、耐フューズ性、および伝送帯域の制限から、近い将来に伝送容量の限界に突き当たることが予想されている。本研究では、光ファイバ通信の限界を打ち破る方法として、1本の光ファイバに多数のコアを収容したマルチコアファイバ技術と、一つのコアの中を伝搬する複数の固有モードを利用したマルチモード伝送技術を組み合わせることにより、伝送容量の飛躍的な拡大を可能にする空間分割多重伝送技術を確立することを目的として研究を進めた。平成30年度の研究では、マルチコアマルチモードファイバに関して、非結合型6LPモード(10モード)マルチコアファイバの設計を行い、マルチコアファイバの空間多重密度とモード依存損失の関係について詳細な調査を実施した。その結果、同種6LPモード7コアファイバにより、従来のシングルコア単一モード光ファイバと比較した相対コア多重度指数として50以上を維持しつつ、ファイバ接続時に生じるモード依存損失を十分低減可能であることを明らかにした。また、群遅延広がりを低減可能な結合型マルチコアファイバに関して、各コアに2LPモード(3モード)が伝搬する結合型マルチコアファイバにおける群遅延広がりの低減可能性を示した。さらに、マルチコア・マルチモード伝送を実現するためのモード制御技術に関して、平面光波回路に基づくモードスクランブル型の3モード合分波器の構成法を提案した。
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