プラズモン・フォトニック結晶センサの登場により、センサの小型・高感度化が進んだ。しかし、従来のセンサはフラット基板上に実装されており、被測定物をセンサ部に導く必要があるためin situ測定が困難である。光ファイバ先端にセンサを実装することで、被測定部にセンサを近づけ目的の反応に適した環境で測定ができる。超微細人工光学材料の平面型メタマテリアル(メタ表面)は光学応答が環境変化に敏感なため、局所場の高感度センシングを実現する。本研究では、光ファイバ先端にメタ表面を実装したフィジカル・ケミカルセンサを開発し、測定場所を選ばず局所領域の超高感度測定を可能とする革新的超精密ナノセンシングの実現を目的とする。 本年度、偏光センサとして、光ファイバ端面上のワイヤグリッド偏光子の製作を行った。まず、光ファイバ端面にワイヤグリッドを構成する金属を成膜し、その後、昨年度製作したナノインプリント用モールドを用いて光ファイバ端面にワイヤグリッドパターンを転写した。光ファイバ中心のコア部にパターン転写することに成功した。 また、回転対称カットワイヤ構造で構成されるメタマテリアルによる屈折率センサの高感度化とDNA検出の実証を行った。具体的には、回転対称カットワイヤ構造表面に吸着層が存在するシミュレーションモデルを用いて、構造近傍の電場モード解析を行ない、バイオアフィニティセンシングに適した回転対称カットワイヤ構造を設計・製作した。また相補な塩基配列を持つDNAをリガンドとして製作した回転対称カットワイヤ構造上に修飾させ、アナライトであるDNAの検出を実証した。
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