研究課題/領域番号 |
16H04349
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 正彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90403170)
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研究分担者 |
森藤 正人 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00230144)
丸田 章博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40252613)
梶井 博武 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00324814)
上向井 正裕 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80362672)
村上 博成 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (30219901)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光インターコネクト / フォトニック結晶レーザ |
研究実績の概要 |
現在、フォトニクスが、インターネット社会を支えている。しかし、実際に、信号処理を行っているのは電子機器であり、フォトニクスは、単に情報の伝送を行っているのみである。光は高速で無限の可能性を有するイメージを与えるが、光インターコネクト(光装置間伝送)が近い将来ICT社会のアキレス腱となる可能性が高い。光インターコネクト用光モジュールは、要求仕様の緩い幹線系光通信の技術を転用して実現されてきたが、このアプローチは限界に達しており、発想の転換が必要である。我々は、究極の光モジュールを作製して、そこから光インターコネクトへ展開する。本研究では、究極の光モジュールの送信側レーザダイオード(LD)を実際に作製し、特性を実証する。具体的には、2次元フォトニック結晶(PhC)を用いて究極の光モジュールを作製し、そこから光インターコネクトへ展開する。 本研究は、以下の3つの小課題を有している。【課題1】PhC-LDを作製し、静特性を測定し、結果をフィードバックして特性改善を行う。【課題2】PhC-LDを作製し、高周波特性を測定し、結果をフィードバックして特性改善を行う。【課題3】1 Tbps実現のために必要な技術課題を明らかにし、その打開方法を開発する。 本年度は、主に【課題1】に取り組んだ。具体的には、シミュレーションを用いて素子特性を予測する、フィードバックを繰り返して素子の設計を行う、また、素子を作製するためのプロセス技術を開発する、作製した素子の特性評価を行う、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数的目標値は、レーザ光スペクトル線幅が0.2 nm、LDの電気抵抗値が200Ωである。
光励起実験で、0.07nm以下のレーザ光スペクトル線幅を得ることに成功した。共振器のQ値で決まる共振スペクトル線幅よりもはるかに小さいものである。これにより、フォトニック結晶レーザを用いた波長多重通信への展開において原理的に大きな障害がないことが実験的に証明された。
LDの電気抵抗値は、現状1kΩと目標値よりも大きい、高速動作および低消費電力動作の障害となる可能性がある。原因を検討して、対策中である。また、光学的特性評価を行うためには、金線でのワイヤーボンディングが必須であるが、ワイヤーボンディング時に上部電極が剥離する問題が発生している。対策中である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度には【課題2】PhC-LDを作製し、高周波特性を評価する、を行いたいが、そのためには、本年度の課題を解決する必要がある。
他方、【課題2】の測定系のセットアップなど、一部前倒しで行っているものもある。
全体進行としては、当初計画にキャッチアップできるように努めたい。
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