研究課題/領域番号 |
16H04357
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
黒瀬 範子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, プロジェクト研究員 (50520540)
|
研究分担者 |
神谷 格 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10374018)
荒木 努 立命館大学, 理工学部, 教授 (20312126)
岩田 直高 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40708939)
青柳 克信 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 上席研究員 (70087469)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 導電性AlNバッファー層 / 自然形成ビアホール / Si基板上FET / Si基板上エピ反り低減法 / Si基板上縦型FET |
研究実績の概要 |
AlGaNを用いた電子デバイスはSi,SiCやGaNを用いた電子デバイスに比べて高耐圧特性を持ち、周波数特性もよい。従って、AlGaNを用いた高耐圧、高周波、高出力電子デバイスが実現できれば、次世代型デバイスを実現できる事になる。我々はAlGaN-FETを世界で始めて実現し、またSi基板上に自然形成ビアホールを作製することで導電性AlNバッファー層の開発に成功し、Si基板上縦型深紫外LED並びに縦型深紫外光センサーを実現してきた。本研究は我々が新たに開発したAlGaN-FET作製技術並びに自然形成ビアホール形成技術を駆使し、Si基板上縦型パワーAlGaN-FETの実現可能性を原理実証することを目的とする。 今年度は上記の目的を達成するために、本研究の根幹である自然形成ビアホールの形成過程並びにそのビアホールを通しての電気伝導の制御の方法を明らかにする事がまず必要であることが解り、本年度はその問題解決に取り組んだ。その結果Si基板上のAlNにおける自然形成ビアホールの形成は結晶成長時に行うAl先出によるAlSi合金とSi基板との表面エネルギーの違いにより選択的にAlNがSi基板上に成長しAlN層にビアホールが形成されることが解った。この結果Alの先出量並びにその時の温度によりビアホールの数、大きさが制御できることが解りそれに従い導電性の高いビアホールを形成されたAlN層を実現できる展望が開けた。またビアホール上に堆積するAlGaN結晶成長においてその成長モードを制御することにより、クラックのない平坦なAlGaNエピタキシャル層が実現できることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
導電性AlNを実現しそれを制御するために、その形成機構を明らかにする必要があることが解り、本年度はまずそれに取り組み所望の成果を得ることができた。またそれを用いてデバイスを実現する過程において、所持している有機金属結晶成長装置が15年位たっているために老朽化に伴う装置故障(水素純化装置の故障、炉の温度調節装置の故障、成長モニター装置の故障、窒素供給装置、排気系ロータリーポンプ等)が続出しその修理と保全に多くの時間をとられ、デバイス化に向けての研究が遅れた。現在は完全に復旧し結晶成長が再開できる状態になっており、デバイス化に向けて結晶成長を再開している。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度の研究で導電性AlNの形成機構並びに制御方法が明らかになったので、この結果に基づいて本年度は研究を行う。本研究で提案するAlGaN縦型FET構造は、自然形成ビアホールを用いて低抵抗Si基板上に導電性AlNバッファー層(以下v-AlN)を形成し、その上にn-AlGaNを結晶成長させる事により、低抵抗Si基板を電極として利用できる縦型デバイスを作製する。本デバイスではn-AlxGa1-xN層で高耐圧性を実現し、n-AlyGa1-yN/n-GaNヘテロ構造で低抵抗チャネル特性を実現する。そのために本年度は次の取り組みを行う。 1.v-AlN層の結晶成長をデバイス実現の視点で最適化する。具体的にはクラックが入らない、且つ反りがほとんどなくデバイスプロセスに耐えうるAlGaN結晶成長を実現する。 2.高品質デバイスを実現するためにAlGaNの高品質化を図る。 3.縦型デバイスを実現するために新たなGaN, AlGaNの局所p-化の方法を開発する。 4.実際に縦型デバイスの作成を試み、その動作可能性を明らかにする。
|