研究課題/領域番号 |
16H04360
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
本間 尚樹 岩手大学, 理工学部, 教授 (70500718)
|
研究分担者 |
竹村 暢康 日本工業大学, 工学部, 准教授 (90747023)
西森 健太郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90500611)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | MIMO / バイタルサイン / センサ |
研究実績の概要 |
本研究では,アレーアンテナの信号処理技術を応用することで,マイクロ波を用いた高感度バイタルセンサを実現することを目的としている。まず本年度は,高精度なセンシング実現に欠かせない検出用アレーアンテナの拡張について取り組んだ。申請者らがこれまでに検討してきた測定系はアンテナ素子数が4×4 MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 構成であり,十分高い精度を得ることができなかった。本検討では素子数を拡張し16×16MIMOの計測を可能とした。生体活動は無線信号の周波数と比べて遥かに低周波な成分のみを含むため,スイッチングMIMO構成とすることで低コストにハードウェアを実現する方策を採用した。また,アンテナ素子数を増加させたことによって,より詳細な被験者の状態を把握することが可能となった。アレーアンテナを水平および垂直方向に矩形配置することで,被験者の高さ情報を得ることができる上,さらに散乱断面積をより正確に見積もることが可能になった。本年度は被験者の高さと散乱断面積の時間的推移を観測することで,被験者の行動や状態を推定する方法について検討した。その結果,80%以上の精度で4つの行動を判定することが可能となった。また,他素子化したアレーアンテナを用いてバイタルサイン発生部位の解析を行った。アレーアンテナで観測した信号に対してポスト処理によってビームフォーミング処理を施すことによって,バイタルサインの発生部位を評価した。これによって,呼吸および心拍に相当する反射成分が体表面の異なる位置から発生することが明らかなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時の目標以上に検討が推移している。初年度の主な検討課題は,A) アレーアンテナ拡張による位置検出精度の向上であり,当初の目標であったハードウェアは早々に実現することができた。さらに,翌年度に計画していた課題,B) 人体におけるバイタルサインの発生部位の解明,について先行着手している。課題Bについては既に一定の成果が得られており,研究全体は良好に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
予定どおりに,計画されていた課題に着手する。引き続き,B) 人体におけるバイタルサインの発生部位の解明について取組,バイタルサイン検出に適したアンテナ構成・配置法について検討を行う。次に,課題C) 心拍検出の高感度化について取り組む。体動がある場合に強いドップラシフトが現れ,比較的弱いバイタルサインに起因するドップラシフトが埋もれるため検出が困難になるという問題に着目し,体動を除去しながら高感度にバイタルサインを抽出する方法を検討する。続いて,検討課題A)~C)で得られた知見を活用し,生体の行動や状態さらには個人識別についても検討を行う。
|