研究課題/領域番号 |
16H04362
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 雄一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10547029)
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研究分担者 |
田中 聡久 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70360584)
京地 清介 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70634616)
小野 峻佑 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (60752269)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 信号処理 / グラフ信号処理 / スパース符号化 / センサネットワーク |
研究実績の概要 |
本年度は主に大規模センシングデータ処理の高速化手法や次元削減手法に関する研究を行った.以下簡単に成果の概要を述べる. 1) 大規模行列の特異値縮退処理の高速化 大規模時空間センシングデータを数理的に表現する際には,センサ数x計測回数のサイズを持つ行列が用いられることが多い.センサ数や計測回数が増えるに連れて行列サイズは爆発的に増加するため,行列の処理にも大きな計算コストがかかるようになる.行列を特異値分解し,その特異値を操作(縮退)することは様々な信号処理アルゴリズムの一部で利用されているが,特異値分解は一般に非常に計算量が多い.本年度はチェビシェフ多項式近似と行列のスパース性を利用した特異値縮退の高速化に取り組んだ.結果として,縮退の精度を保ちつつ,最大5倍程度の高速化を達成した.本成果は信号処理分野の一流論文誌である IEEE Trans. Signal Processing へ掲載された. 2) マルチモーダルデータの次元削減手法 センシングの際,同一計測地点で様々な属性のデータを計測することが多い.例えば気温・気圧等の環境データが最たるものである.このマルチモーダルデータを信号のスパース性を利用して次元削減を用いて圧縮することができれば,大規模センシングデータの効率的な表現が可能となる.従来手法ではチャネルごとに次元削減を行う手法が主流であり,チャネル間の相関をうまく利用できなかった.本年度はコンピュータビジョンで利用されている画像の色モデルである Color Lines をマルチモーダルデータの次元削減に利用することで,新しい視点からのマルチモーダルデータ圧縮に取り組んだ.結果として,PCA等の従来手法と比較し,同圧縮率で最大10 dB 以上のS/N比改善を達成した.本成果は IEEE GRSS のフラッグシップ国際会議である IGARSS 2017 で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模時空間データ符号化の次元削減手法や高速化手法への理解が大きく進んだ.グラフ信号処理手法のみならず,多分野の類似手法を横断的に用いることで,目的達成により近づいたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
大規模動的データのスパース表現のため,動的なセンシングデータからの静的・動的グラフの推定手法およびグラフ上の信号のスパース符号化手法,および辞書構築手法に取り組む.
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