本研究では,可視光通信によるインフラ協調型安全運転支援システムの実現を目的に,車輌周辺環境の高速認識・通信統合システムについて検討した.具体的には,申請者がこれまで行ってきたイメージセンサを用いたITS可視光通信を発展させ,まず,カメラを2台に増やしたステレオ構成とした,高速二眼カメラによる時空間画像と時空間断面画像の解析を行った.次に,そこで得られた成果を発展させることで,高速二眼カメラと可視光IDによる車輌周辺環境の高速認識・通信統合システムを構築した.このような検討を通して,可視光通信の新たな枠組みの構築を目指すだけで無く,可視光IDと併用することで高速・高精度化な車輌周辺環境の認識を達成した. 平成28年度は、理論解析、シミュレーションでの検討に専念した. 平成29年度は、導入した機器(フォトロン社製・IDP-ExpressR2000ノートPCパック)を用いた実験を行うと共に、新たにLEDアレイ送信機を制作し、実験環境を整えることに注力した。具体的には,高速二眼カメラを用いた受信性能改善に取り組んだ.その結果,いわゆる電波を用いた無線通信受信機で有効な複数アンテナを用いたダイバーシチ受信と同様の効果が可視光通信でも実現できることが分かった.とりわけ,最大比合成受信は有効であることを,実験,および誤り率解析より明らかにした. 最終年度となる平成30年度は,これまでの成果をベースに高速二眼カメラと可視光 ID による車輌前方の 高速認識・通信統合システムの完成を目指した.具体的には,路車間および車路間通信のための高速二眼カメラを用いた受信装置を改造することで,車輌前方の高速認識・通信統合システムの総合的な特性評価を行った.
|