研究課題/領域番号 |
16H04365
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小西 毅 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90283720)
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研究分担者 |
植之原 裕行 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20334526)
和田 尚也 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所, 研究所長 (20358873)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光信号処理 / 時間-周波数領域 |
研究実績の概要 |
本研究の全体構想の主眼は、フーリエ変換に基づく従来の“時間領域”と“周波数領域”における信号の取り扱いを、フーリエ変換の一般化を通して再構築することである。時間領域と周波数領域で分けられているパケット・回線交換の処理の共通化等において新たな自由度の創出が期待できる。送受信のアプローチのみならず、送受信信号の計測装置、信号処理装置等への展開への指針抽出を目指す。 今年度は、昨年度抽出した課題に対する解決方法の創出・検討を中心に時間―周波数中間領域における多重化方式変換を実現するための時間―周波数信号変換プラットフォームの構築、特に、基本的な処理の実現を念頭に置いた自由度拡大の検討を進めた。具体的には、基本的な処理の実現には、時間―周波数信号変換の基礎となるフラクショナルフーリエ変換の自由度(並列度)に相当するチャネル数を確保する必要がある。その制限要因として昨年度抽出した信号間干渉の課題に対して、サブキャリアの周波数配列の最適化を提案し、その効果として信号品質劣化をビットエラー測定において一桁以上改善可能であることをシミュレーションによる確認に成功した。さらに、その具現化のためのデバイス設計・制御技術の確立を目指して、シリコンフォトニクス技術の導入を検討した。また、中間領域を活用することにより新しい機能創出が見込めるが、送受信のアプローチのみならず、送受信信号の計測装置、信号処理装置等への展開を念頭に、計測手法のスペクトル分解能の高精度化の検討や新しい技術の情報収集も積極的に行った。特に、“時間領域”と“周波数領域”および“時間―周波数中間領域”での信号評価が重要となるため、活用可能な技術について情報収集を基にした検討を行った。これらの成果の一部については、国際会議、国内会議において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、昨年度抽出した課題に対する解決方法の創出・検討を中心に時間―周波数中間領域における多重化方式変換を実現するための時間―周波数信号変換プラットフォームの構築、特に、基本的な処理の実現を念頭に置いた自由度拡大の検討を進めた。具体的には、基本的な処理の実現には、時間―周波数信号変換の基礎となるフラクショナルフーリエ変換の自由度(並列度)に相当するチャネル数を確保する必要がある。対象信号数の検討の結果、当初の予想に反し、チャネル間干渉の影響による信号の劣化が対象信号数の上限に影響することが分かった。そのため、このチャネル間干渉に影響を詳細に検討することを優先し、成果発表の時期の繰り下げを行った。この制限要因として抽出した信号間干渉の課題に対して、サブキャリアの周波数配列の最適化を提案し、その効果として信号品質劣化をビットエラー測定において一桁以上改善可能であることをシミュレーションによる確認に成功した。次年度の国際会議において発表の予定である。このように当初の計画にない部分についても検討解決して研究を遂行進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、時間と周波数の共存した“中間領域”に適した信号処理方法の確立により、新たな自由度の創出が期待できる時間領域と周波数領域で分けられているパケット・回線交換の処理の共通化等において基本的な処理の実験的な検証をもとに最適な領域の抽出を目指す。具体的には、“中間領域”に相当する空間光変調器内でのフィルタ変更によりスペクトル利用効率を落とさずに中間領域を活用する条件を検討する。このような検討は、“中間領域”における相互変換過程において時間領域と周波数領域で分けられているパケット・回線交換の用の信号を相互変換しながら処理を行う際に情報の品質を落とさずに処理を行うために重要である。また、シリコンフォトニクス技術の導入特性も含めこれらの集積化デバイスの設計を並行して検討することにより,時間-周波数中間領域における多重化方式変換を実現するための時間-周波数信号変換プラットホームの構築の検討を推進する予定である.
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