研究課題
本研究の全体構想の主眼は,フーリエ変換に基づく従来の"時間領域"と"周波数領域"における信号の取り扱いを,フーリエ変換の一般化であるフラクショナルフーリエ変換を通して再構築することである.昨年度までに行った“時間-周波数中間領域”における信号処理の有効性の確認を進める取り組みの過程で,回線信号に相当するシンボルの境界での周波数が大きく変化しないようにすることによりシンボル間干渉の軽減による回線数と信号品質の向上を試み,QPSK変調を加えたチャネル数4の並列回線の信号をパケット信号に相当する信号への変換において改善の効果を確認した.また,時間-周波数中間領域の時間と周波数の混在した信号の特徴を活用する具体的な指針の抽出を目的として,スペクトル利用効率を最適化する中間領域の条件の評価を行った.具体的には,伝送信号品質を指標に,“時間領域”および “周波数領域”における信号とみなせるパケット交換信号と回線交換信号の共存する中間領域の二次元的な傾きを決定するフラクショナルパラーメータの最適化を行った.その結果,スペクトル利用効率の劣化を抑えた帯域幅が狭い条件の中でも,フラクショナルパラーメータの値として-0.9が伝送信号品質の劣化量が少ない条件として求められた.実際に複数の条件に対して伝送のシミュレーションを行い,周波数領域との比較により中間領域の優位性を示した.また,フラクショナルOFDM信号処理回路のシリコンフォトニクス集積化実現を目指して,数値解析・ファウンダリ試作素子による実験的検証を試みた.遅延導波路間の位相シフト量をチャネル間の直交条件から一定の差を付けることにより,8チャネル仕様において800ps/nm以上の分散特性が可能であること,位相シフト量との関係が線形で近似できる結果が数値解析的に得られ,集積化の一つの指針を示した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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