研究実績の概要 |
国際標準化の動向を調査しながら,外向きに配置された発散型多視点カメラによるFTVの理論を研究した.円周上に配置した多数の発散型カメラで撮影した多視点映像から得られる光線情報を表現する光線空間法と自由視点画像生成法を開発した。光線を方向ベクトル(θ, φ) とそれに垂直な基準面上の位置ベクトル(ξ, η)の4次元パラメータで記述し、3D空間中の任意の1点を様々な方向に通過する光線(ξ, η, θ, φ)の集合が光線空間内で正弦波を構成することを明らかにした。従来の収束型カメラで撮影した多視点映像から得られる光線情報と発散型カメラで撮影した多視点映像から得られる光線情報を比較・分析した結果、前者は正弦波の右下がり部分、後者は正弦波の右上がり部分に対応することが判明した。円周上に密に配置した発散型カメラで撮影した多視点映像から光線空間を構築すれば、この円内の任意の視点で自由視点画像を生成できることを示した。光線を取得する円の外部では必要な光線データの一部しか取得できないため、生成画像の視野が狭くなる。多視点カメラ配置が密でなければ光線の補間が必要となる。従来のFTVでは,MVD (Multi-view plus depth)方式と呼ばれるデータ形式で3次元シーンを表現し,depth情報を利用してview情報から光線補間を行っていた.本研究では,新しい3次元シーン表現としてMVS (Multi-view plus surface)を提案し,表面情報を利用して光線補間を行うFTVの新しいフレームワークを構築した.これにより高精度な奥行情報の取得と高品質な自由視点画像生成が行える.さらに,物体の反射特性や透明度も付加データとして持つことができるため,鏡面反射や半透明のシーンも表現でき,照明条件の変更なども可能となる.
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