研究課題
生体組織の「硬さ」、「ぐりぐり感」、「張り」などに繋がる組織のずり弾性特性は、癌などの確定診断に役立つとの期待から、ずり弾性特性を映像として得る映像法(エラストグラフィ)は精力的に研究が行われている。エラストグラフィは、生体組織中に周波数1kHz程度までのせん断波(横波、地震のS波に相当)を伝播させ、せん断波の伝播速度を超音波で計測することが基本原理になるが、従来法では測定値のバラつきが大きいなどの議論がある。この理由としては、従来法ではせん断波の伝播を平面波として仮定しているので、組織の局所的な硬さの変化により伝播速度が数倍も変化すると、組織境界で大きな屈折、反射、散乱が生じるなど、平面波伝播の仮定が満たされなくなるためである。本研究では、研究代表者が開発したせん断波の実時間可視化法(Color Doppler Shear Wave Imaging法:以降CD SWI法と呼ぶ)を用いて、組織弾性特性の可視化技術の定量性、空間分解能を向上させるだけでなく、せん断波波面伝播の可視化をツールとして組織構造の可視化や、屈折や反射の影響を受けにくい伝播速度の高精度・高分解能計測技術を開発し、これらをシステムとして一体化することで、臨床で求められる精度と分解能を達成する。本年度は、特に整形外科での利用を想定し、再現性向上のための小型コイン型加振源の開発、筋組織とそれに直交する方向での伝播速度の違い(異方性)の影響を低減させるために、筋繊維に沿ってせん断波が伝播していることを定量的に評価する方法の開発等を行い、運動負荷における僧帽筋の弾性変化の評価、疾病に対する弾性変化の計測などを行い、本手法の臨床での有用性の評価を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 ページ: 07LF19~07LF19
https://doi.org/10.7567/JJAP.57.07LF19
Journal of Medical Ultrasonics
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