研究課題/領域番号 |
16H04385
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 茂 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (70220465)
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研究分担者 |
奥 宏史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20351455)
牛田 俊 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30343114)
得竹 浩 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80295716)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 制御工学 / 制御系設計 / ロバスト制御 / 適応制御 |
研究実績の概要 |
本申請課題のH29年度の成果は以下に示すとおりである. 【課題①:瞬時再設計のためのデータ駆動極配置法】データ駆動極配置法をカオスシステムの不動点瞬時安定化へ適用した成果を国際会議にて発表した.また,Ball&Beam装置のI-PD制御系にデータ駆動型極配置法を適用した場合のモデル化誤差が大きくなる問題について国内会議で発表を行った.さらに,非線形システムである倒立型二輪移動ロボットにデータ駆動極配置法を適用した際の観測雑音の影響を低減するにはプレフィルタリングが重要であることを国際学術雑誌にて発表した. 【課題②:制御系の常時最適化】風力発電システムの発電効率最大化を目的として開発された回転同期型極値探索制御が従来型の極値探索制御よりも振動が軽減できることを国際会議にて発表した.また,適応同定器による歩行ロボットのコンプライアンス制御,飽和・むだ時間を考慮した非線形ロボットアームのモデリングとシミュレータの構築,時変むだ時間要素の推定とモデル予測制御系の性能改善によるリアルタイム画像処理を含む見かけの制御の開発を行った.さらに,多入力多出力非線形システムである廃水処理システムにデータを活用するモデルフリー予測制御を適用し,数値シミュレーションによって,その効果を確認した. 【課題③:モデル精錬のための閉ループ同定】取り扱う小型無人飛翔体が多入出力マルチレート制御系であることを考慮して,H28年度に引き続き閉ループ部分空間同定法を改良したマルチレート系閉ループ同定法の開発を行った. 【課題④:ドローンの適応制御システム】ドローンの飛行外部環境をモデル化し飛行制御に利用することで制御性能を向上させるシステムの開発に取り組んだ.H29年度は,外部環境を認識する遠隔風速センサの基礎試験を行い,そのセンサ出力を前提としたドローンの適応制御システムの設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にある瞬時再設計のためのデータ駆動極配置法と制御系の常時最適化については,数値計算や実証実験などにおいて着実に成果をあげている.学術雑誌における研究成果発表は少ないものの国際会議を含めた口頭発表では研究成果をアピールできている.
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今後の研究の推進方策 |
【課題①:瞬時再設計のためのデータ駆動極配置法】これまでの状態フィードバックの成果を出力フィードバックに拡張する. 【課題②:制御系の常時最適化】歩行ロボットのコンプライアンス制御系,非線形ロボットアームの制御系,カメラプロジェクタからなる見かけの制御系といった種々のアプリケーションに対して,適応制御やモデル予測制御の考え方に基づいてリアルタイムにモデルパラメータの修正と制御則の最適化を行う実用的制御の実装可能性を検討し,構成された制御系の制御性能を検証する. 【課題③:モデル精錬のための閉ループ同定】引き続き変化検出法と閉ループ同定法の改良に取り組む.とくに,開発したマルチレート系に対する閉ループ部分空間同定法については,クワッドロータードローンの飛行制御系を用いた実験により開発手法の有効性の確認を行う. 【課題④:ドローンの適応制御システム】H29に確立した制御システム構造の有効性を数値シミュレーションで評価した.H30年度は実環境での評価試験を行う.製作中の飛行実証用ドローンを完成させ,設計した飛行制御システムを実装する.そして実環境での突風履歴をリファレンスとして計測しつつ,設計システムの性能評価を行う.
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