研究課題/領域番号 |
16H04389
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐川 康貴 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10325508)
|
研究分担者 |
合田 寛基 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20346860)
富山 潤 琉球大学, 工学部, 准教授 (20325830)
黒田 保 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30263487)
上田 尚史 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20422785)
五十嵐 豪 東北大学, 工学研究科, 助教 (10733107)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ASR / コンクリートプリズム / 加速試験 / 膨張率 / アルカリラッピング |
研究実績の概要 |
アルカリシリカ反応性を有する骨材を用いて作製したコンクリート角柱(プリズム)にNaOH溶液を含浸させた不織布でラッピングし,加速試験(AW-CPT)を実施した.本年度の研究で得られた知見を以下に示す. (1) AW-CPTにより得られるASR膨張挙動について回帰するため,既往のLarive式の適用を試みた.しかしながら,初期材齢から膨張が急速に生じる挙動は表現できなかった.そこで,既往のLarive式に新たな変数を追加した修正式で回帰した結果,相関係数の高い回帰式が得られた. (2) 急速膨張性の骨材として,トリディマイトを含み,ペシマム現象を示す安山岩砕石を選択した.この骨材の場合,温度を高くすると材齢初期に大きな膨張が生じてしまい,その後の膨張に寄与するアルカリシリカゲルが供試体から流出してしまう可能性がある.ASRによる膨張挙動を適切に評価するためには,加速条件の緩和が必要であるが,アルカリ総量を少なくすると,データのばらつきが大きくなる可能性があるため,温度を低くする等の対策が必要である. (3) 遅延膨張性を有する骨材として,微晶質石英および隠微晶質石英に起因する遅延膨張性の特徴を有する砂質片岩砕石を選択した.この骨材の場合,26週の試験期間では一般的に用いられる判定基準に近い膨張率が得られた.ASRによる膨張挙動を適切に評価するためには,長期の試験期間の設定や,加速モルタルバー法(ASTM C1260)との併用による評価が必要である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同じ反応性骨材を用いて異なる複数の試験機関でAW-CPTを実施し,ASR加速試験としての適用性やデータのばらつきについて考察を行うことができた.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのCPTおよびAW-CPTのデータを収集,分析し,データのばらつきの要因やアルカリラッピングの効果について明らかにする.試験の精度や再現性,種々の骨材への適用性,最適な加速条件について明らかにする.さらに,AW-CPTの加速倍率を検討する上で必要となる,実環境下でのコンクリートの膨張挙動を把握するため,大型コンクリート部材を作製し,暴露試験を実施する.
|