研究課題/領域番号 |
16H04391
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山口 明伸 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50305158)
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研究分担者 |
武若 耕司 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (10155054)
木村 至伸 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (10363607)
審良 善和 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (60639376)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 木質バイオマス燃焼灰 / セレン / 六価クロム / 無害化 |
研究実績の概要 |
<課題1>再資源化の観点からみたバイオマス燃焼灰の特性評価: 木質バイオマス燃焼灰の特性を明確にするために、密度、粒度分布、化学組成、ならびに各種有害物質の溶出量を調査した。その結果、密度は2.49程度であり、高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材の範囲内であること、粒度分布はこれらよりも粒径が大きい方向にスライドしてやや粗く比表面積が2170cm2/g程度であること、シリカとカルシウムを同程度含みアルミナが少ないこと、などを明らかとした。加えて、セレンや六価クロムなどの有害成分も含んでおり、土壌環境基準値と比較してセレンで6倍、六価クロムでは30倍以上の溶出が認められた。 <課題2>燃焼灰の特性に応じた無害化処理法の開発: 無害化処理の一つとして、まずセメント硬化体とすることによりセメント水和物中に有害物質を固定化する方法を検討した。この方法によって、セレンと六価クロムの溶出量を、いずれも土木環境基準値以下に抑制できることを確認した。また、モルタルに混和することにより、長期的な強度増進や組織の緻密化が認められたことから、ポゾラン活性を有している可能性が示唆された。さらに、地域の未利用資源であるシラスを加えて焼成することにより、有害物質を完全に固定化した新しい材料として再生する方法を見出した。この材料は、そのまま粗骨材としても利用可能な物性を有しているが、さらに必要な成分を添加することで反応性を高めた混和材の原料となる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の課題としていた、対象材料の物理化学的特性の把握、モルタルに混和した場合の影響、さらに無害化処理法の効果の検証、処理工程が焼成体の材料品質に与える影響、などに関して、当初の予定通りの基礎的情報を収集・蓄積することができた。なおモルタルに混和した場合の、より長期的な影響については、次年度以降に継続して検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果を受けて、次年度の取り組む主な課題は以下の通りである。 <課題1>再資源化の観点から見たバイオマスの特性評価:原材料や入手経路、加工方法などの情報を燃焼灰の物理化学的性質と比較することで、再資源化原料としての燃焼灰の評価・分類方法を検討する。 <課題2>燃焼灰の特性に応じた無害化処理法の開発:溶融・焼成プロセスを経た新材料に建設材料としての付加価値を付与することを目指した添加材料の選定や調合の検討を進める。 <課題3>再資源化された焼成体の建設材料への適用性:コンクリート用の骨材あるいは混和材とした場合の施工性、硬化特性、強度特性、耐久性を検討する。
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