研究課題
本研究は,アルカリシリカ反応(ASR)や遅延エトリンガイト生成(DEF)などのコンクリートの内部膨張反応(ISR)を対象として,これらの微細構造の理解に基づき,ISRで劣化した構造物の診断と性能予測の構築を目指し,H30年度では以下について検討した。(1)診断技術について,過年度に作製した試験体を用いて膨張挙動をモニタリングするとともに各種分析を実施し,膨張挙動と損傷・変状過程を整理した。ASRについて,広域の微細損傷を評価し,膨張率の関係について整理した結果,同じ膨張率でも微細損傷の程度は大きく異なることがわかった。DEFについて,あるエトリンガイト生成量から急激に膨張率が大きくなることがわかった。これらの結果を基に,ISRで劣化した構造物の微細構造診断方法について取りまとめた。(2)膨張モデルについて,改良モデルを用いて暴露試験体のシミュレーションを行った。その結果,実験結果と整合した良好な結果を得た。ただし,さらなるモデルの改良が必要である点も確認された。また,プレストレストコンクリート製のはりを作製し,暴露試験を開始した。現時点では,膨張よりもクリープの影響が強く,明確な膨張挙動は得られていないが,現時点でははりの鉛直変位を概ね良好に再現できた。今後長期間にわたって暴露試験を行い,提案モデルの妥当性を検証する予定である。(3)工学的試験法について,ASRに関する試験では,これまでの成果を査読付き英語論文に投稿した。また,DEFに関する試験では,薄板状のサンプルを用いて残存膨張性を評価する試験法を考案した。その結果,膨張初期に採取した円盤サンプルはコンクリートのDEFの残存膨張性を過小に評価するものの,概ね良好に残存膨張性を再現できた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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