研究課題/領域番号 |
16H04402
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
藤山 知加子 法政大学, デザイン工学部, 教授 (60613495)
|
研究分担者 |
子田 康弘 日本大学, 工学部, 准教授 (40328696)
仙頭 紀明 日本大学, 工学部, 准教授 (40333835)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | コンクリート / 水圧 / 液状化 / 砂利化 / せん断 |
研究実績の概要 |
湿潤状態で繰返し作用をうける我が国の道路橋鉄筋コンクリート床版で多くみられるコンクリートの「砂利化」と言われる現象について,その原因のひとつがコンクリート細孔中の凝縮水の水圧上昇によるコンクリート骨格の破壊であるという仮説を,地盤の液状化発生メカニズムに立脚した実験と理論から検証することが,本研究の目的である. このため,昨年に引き続き,コンクリートのマトリックスにおける微細ひび割れの発生と水圧の上昇を想定した繰返し圧縮試験と,ひび割れへの水の浸入とすり磨きを想定した繰返し一面せん断試験を行った。 水圧試験では,繰返し圧縮力より,ひび割れがある中で水圧が発生する方がひび割れ密度が大きくなる傾向であった。また,ひび割れ密度は,圧縮力の繰り返し回数の多少より,載荷重の影響が大きかった。ひび割れを通じて水圧が供試体全体に作用しモルタル部を粉砕するのと同時に間隙水圧上昇が損傷を促進したと考えられた。よって,比較的大きなひび割れが発生したコンクリートに対して,圧縮応力と水圧が作用した状態で,砂利化が進行すると考えられた。 一面せん断試験では,ひび割れ面には砂利化の兆候を示す粉体が確認され,その量は水浸供試体のほうが多いことを示した。粉体質量は水平変位両振幅および垂直変位(沈下量)が大きくなると増加し,正の相関が見られた。繰返しせん断中は,沈下と膨張を繰返しながら,沈下が進行していくことがわかった。この傾向は,緩い砂の繰返しせん断に伴う体積収縮挙動,すなわち液状化と類似することを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冶具や測定装置に多少のトラブルはあったが,その都度解決し,当初計画通りに実験を実施している.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,実験回数を増やし再現性を確認するとともに,さらに研究を推進する方策として,新たに,外力を加えず注入方式による水圧載荷で水圧単独の作用を評価することとした。 同時に,数値解析を取り入れることで,実験の検証を推進する.具体的には,FEMにより実構造物想定した繰り返し荷重下の挙動をシミュレーションし,発生すると予測される応力ーひずみの大きさや方向,それによって予測される水圧を算出する予定である.
|