研究課題/領域番号 |
16H04410
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡村 未対 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (50251624)
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研究分担者 |
安原 英明 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70432797)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液状化 / 三軸試験 / 遠心模型実験 / 年代効果 |
研究実績の概要 |
1.繰返しせん断試験:次の①、②の試験を空中落下法で作成した供試体(Dr=50%)に対し三軸試験機を用いて行い,履歴中および部分排水中の体積変化と液状化強度,および種々のひずみレベルでの剛性との関係を検討した。 ①加振履歴の影響:排水条件で小さな繰返しせん断(加振履歴)を供試体に与え,所定の体積ひずみ(0.1%~1%程度)に達した後,非排水条件で液状化強度を測定した。②加振中の部分排水・不飽和(体積ひずみ)の影響:地震中には間隙水の移動(部分排水)や不飽和砂の間隙空気の圧縮により,土は繰返しせん断を受けながら体積ひずみが生じる。この現象は,間隙水圧の消散効果と考えられてきたが,圧密理論では説明しきれない液状化強度の増加を生じる。そこで本研究では排水量を制御しながら繰返しせん断を行う液状化試験を実施した。 2.遠心力場での模型実験:レーザープロファイラーと高精度層別沈下計測法(精度0.1mm)で精緻に履歴中のひずみを計測すると共に,各加振前後の地盤剛性および液状化現象を観測する実験を実施した。 ①数百年間の加振履歴の影響:小地震(10gal程度)30回,中地震(50gal程度)3回,大地震(150gal程度)1回を1セットとし,2~3セット連続して地盤を加振する動的実験を行い,およそ数百年間に相当する地震履歴の影響を調べる。地盤の初期密度,加振レベル及び回数を変えた実験を行う。②K0の測定:加振履歴によるK0の変化を測定した。この測定は全ての遠心実験の加振前後に実施する。さらにベンダーエレメント及びコーン貫入試験により小ひずみレベルと大ひずみレベルでの地盤剛性の変化も計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在実務で広く用いられている液状化判定法は過度の安全側の判定となるため,精度の向上が望まれている。液状化強度に大きく影響するにも関わらず,これまで定量的な評価ができなかった主な要因に,年代効果や土粒子の微視的構造として定性的に説明される加振履歴,過圧密履歴,供試体作成法がある。本研究では,地震中の部分排水や不飽和の影響を含めこれら要因の影響を統一的・定量的に説明するモデルを構築する。続いて微視的粒子構造の影響を力学的に評価できる指標を見出し,その原位置での測定法を確立する。これらをまとめ,年代効果等を考慮した新たな液状化判定法を提案することを目的としている。 初年度の平成28年度は、予定していた繰返し三軸試験および遠心模型実験をほぼ予定通り実施し、所期の成果を得ており、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究をほぼ順調に行うことが出来たので、2年目も当初の予定から大きな変更はせずに研究を進める予定である。具体的には次のことを実施する予定である。 1.繰返し三軸・中空ねじり試験 平成28年度に行った試験を,供試体の初期土粒子構造を変えて行う(湿潤締固め法により供試体作成)。また,応力異方性の影響を既往のデータを用いて検討する。 2.遠心模型実験 ①中ひずみレベル剛性とK0の測定:液状化強度に関係する土の微視的粒子構造は鉛直面内でのせん断変形特性と相関が高いと考えられるため,ベンダーエレメント試験では波動伝搬方向やせん断変形の方向を変化させ,液状化強度とより相関性の高い指標を見いだす。また、②加振中の部分排水・不飽和(体積ひずみ)と液状化強度の不均一発達メカニズム:透水係数が高く,あるいは液状化層厚が薄い場合には,土は繰返しせん断を受けながら体積ひずみが生じる。また,液状化した土層は時間の経過と共にその下部より水圧が消散するため,地震の後半や余震では下部ほど水圧消散(体積ひずみ)が生じながら繰返しせん断を受けることになる。このように多くの地震履歴を受けるこが地盤の液状化強度を不均一にする要因であると考えられる。そこで,上述H28年度の(1)②の実験を地盤の透水係数を変化させた地盤に対して行い,地震履歴による液状化強度の不均一性の発達メカニズムを調べる。
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