現在広く用いられている液状化判定法は過度に安全側の判定となることが多いため精度の向上が望まれている。液状化強度に大きく影響するにも関わらず,これまで定量的な評価ができなかった主な要因に,年代効果や土粒子の微視的構造として定性的に説明される加振履歴,過圧密履歴,供試体作成法がある。本研究では,地震中の部分排水や不飽和の影響を含めこれら要因の影響を統一的・定量的に説明するモデルを構築し,続いて微視的粒子構造の影響を力学的に評価できる指標を見出す。これらをまとめ,年代効果等を考慮した新たな液状化判定法を提案することを目標とした。 まず,非排水繰り返し三軸試験を系統的に行い,微小加振履歴,過圧密履歴,供試体作成時の堆積方法,メンブレンペネトレーションや部分排水,不飽和など,液状化強度を数割から数倍変化させる密度以外の影響を粒子の微視的粒子構造により定量的かつ統一的に説明し得ることを明らかにした。定量的指標として体積ひずみを第一にとりあげ,これを指標とする液状化強度評価法の確立を検討した。その結果,微小な加振による粒子構造の安定性とそれに伴う液状化強度の増加は,体積ひずみと極めて良い相関があることがわかった。また0.6%程度以上のせん断ひずみを与えると,微小加振により安定化した粒子構造が劣化し,液状化強度が低下することがわかった。この劣化の程度はせん断ひずみ振幅と極めてい良い相関がある。また,たとえ均一な地盤が液状化しても,深部ほど液状化継続時間が短いため余震中に排水を伴い微視的粒子構造の安定性が増加することになる。そこで1つの模型に100回以上の地震を与える遠心模型実験を行い,このような微視的粒子構造の深度方向の形成機構を明らかにした。各加振毎のVsの分布,さらにコーン貫入抵抗の変化を調べた。加振履歴による異なるひずみレベルでの剛性やK0の変化と液状化強度分布の関係を検討した。
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