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2017 年度 実績報告書

液-気-化学連成場における地盤内のファインバブル挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H04411
研究機関日本大学

研究代表者

竹村 貴人  日本大学, 文理学部, 教授 (30359591)

研究分担者 濱本 昌一郎  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30581946)
斎藤 広隆  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードナノ・マイクロバブル / 二酸化炭素 / 分散
研究実績の概要

本年度はファインバブルの理化学性把握および固相・汚染物質への物質分配機構の解明するため,ファインバブルの物理化学特性(界面特性,粒径分布,持続・安定特性)に関する実験とファインバブルの移動に関する実験を行った.その結果を以下にまとめる.
1)ファインバブルの物理化学特性:O2/CO2 態ファインバブルの残存寿命の測定と同時でゼータ電位の測定も行った.その結果,電位差を駆動力した活動が活発な場合ほど,その残存寿命が短いという予察的な結果が得られた.H28年度に引き続きナノバブル水の化学的性質が多孔質体内の移動特性に与える影響について室内カラム実験により検討した.イオン強度条件が異なるナノバブル水を注入した結果,高イオン強度条件程ナノバブルの多孔質体内での捕捉率は増加する傾向が見られた.また,同イオン強度条件でも1価よりも2価の陽イオンが存在する系で,ナノバブルの移動性は低下した.これらの結果はナノバブル表面電位のイオン強度依存性により定性的に説明できた.
2)ファインバブルの移動実験:室内試験では昨年度までのカラムレベルの試験に加えて土槽実験を行い,CO2 態ファインバブル含有水の移動に関する実験を行った.移流の過程で,飽和度の低下による消失もしくは間隙にトラップされたか影響により流出側からのCO2 態ファインバブルの検出は少量であった.また,地下12mの礫層に対しての原位置試験も行い,土槽実験と同様な傾向となった.また,土槽実験においてはP波速度,比抵抗の測定を同時に行った.その結果,CO2 態ファインバブル含有水の通過時に値の変動があったことを確認した.また,原位置での実験においても比抵抗トモグラフィーを実施し,注入前後で比抵抗値の変化を捉えることができた.しかしながら,その変化が水の濃度変化によるものなのかバブルの影響によるものなのかは判別はできていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画のうち,原位置試験に関しては予定より進行しており,また,予察的ながらよい結果を得ることができている.また,土槽・カラム試験も計画通りに進んでいる.また,物理化学特性に関しては,国際誌での論文でも発表することができている.一方で,気・液・化学連成場での地盤内のファインバブル挙動解析ツールの構築の関して各種物質移動パラメータ(ファインバブルの物理化学的な特徴)の取得は進んでいるが,連成のための解析ツールへの組み込みが遅れている.そのため,全体としては「おおむね順調に進展している」と言える.

今後の研究の推進方策

気・液・化学連成場での地盤内のファインバブル挙動解析ツールの作成に向けて,解析に必要なパラメータの取得を行い,PHREEQCによる解析を行う.ここでは,主にCO2 態ファインバブルを対象とした解析を行う予定である.また,解析結果と原位置もしくは土槽内でのO2/CO2 態ファインバブルの実挙動との比較を行いう予定である.また,実務上で問題となる環境モニタリング(環境影響評価)を行う上で必要となる手法に関しても物理探査手法を用いて評価を行う.そのために,原位置および土槽を使った実験を行い,P波速度もしくは表面波(S波速度)や比抵抗値の変化が何に対応したものであるかを明らかにすることを継続して行う.測定は注入時だけでなく,経時変化でも行い,時間軸を加えた環境影響評価を行う予定である.CO2を対象とした場合,水平方向の移動だけでなく鉛直方向の移動も重要となるため,鉛直方向の移動に注意を払い観測を行うつもりである.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件)

  • [国際共同研究] ジオサイエンス・オーストラリア(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      ジオサイエンス・オーストラリア
  • [雑誌論文] Effects of pH on Nano-Bubble Stability and Transport in Saturated Porous Media2018

    • 著者名/発表者名
      Hamamoto, S., Takemura, T., Suzuki, K., Nishimura, T.
    • 雑誌名

      Journal of Contaminant Hydrology

      巻: 208 ページ: 61-67

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.jconhyd.2017.12.001

    • 査読あり
  • [学会発表] Effects of Solution Chemistry on Nano-Bubbles Transport in Saturated Porous Media2017

    • 著者名/発表者名
      Hamamoto, S., Takemura, T., Suzuki, K., Nihei, N., Nishimura, T.
    • 学会等名
      AGU Fall Meeting 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Migration of carbon dioxide included micro-nano bubble water in porous media and its monitoring2017

    • 著者名/発表者名
      Takemura, T., Hamamoto, S., Suzuki, K., Okuzawa, K.
    • 学会等名
      AGU Fall Meeting 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] CO2 マイクロバブル原位置小規模注入実験2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木 健一郎 ・ 竹村 貴人 ・ 濱本 昌一郎 ・ 奥澤 康一
    • 学会等名
      平成29年度全国大会 第72回年次学術講演会
    • 国際学会
  • [学会発表] pH および電解質濃度が多孔質体中のナノバブル挙動に与える影響2017

    • 著者名/発表者名
      濱本 昌一郎・竹村貴人・鈴木健一郎・西村拓・Per Moldrup
    • 学会等名
      農業農村工学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 微細気泡水の化学的特性が多孔質体中の微細気泡挙動に与える研究2017

    • 著者名/発表者名
      濱本昌一郎・竹村貴人・鈴木健一郎・二瓶直登・西村拓
    • 学会等名
      第52地盤工学研究発表会
    • 国際学会
  • [学会発表] Lifetime of Carbon Dioxide Included Micro-nano Bubble In Shallow Aquifer and Chemical Reaction With CO2 and Sediments2017

    • 著者名/発表者名
      Takemura, T., Hamamot, S., Suzuki, K., Okusawa, K.
    • 学会等名
      AOGS 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Injection of Carbon dioxide included micro-nano bubble water into late Pleistocene sediments and its chemical reaction2017

    • 著者名/発表者名
      Takemura, T., Hamamoto, S., Suzuki, K.
    • 学会等名
      JpGU-AGU joint meeting 2017
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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