研究課題/領域番号 |
16H04414
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 仁 東北大学, 工学研究科, 教授 (30171755)
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研究分担者 |
三戸部 佑太 東北学院大学, 工学部, 講師 (60700135)
Roeber Volker 東北大学, 災害科学国際研究所, シニア研究員 (60725240)
金山 進 日本大学, 工学部, 教授 (90562190)
渡辺 一也 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (50463097)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 津波 / 河川遡上 / ハイドログラフ / 流量 / 東日本大震災津波 / 河川計画 |
研究実績の概要 |
津波の河川遡上は従前から研究が行われてきたが,2011年東日本大震災津波の河川遡上に伴い生じた大規模な被災を受けて,近年特にその重要性が認識されている.2011年の津波はこれまで観測記録のない巨大津波の遡上であり,その河道内における挙動はこれまで議論さてこなかった側面がみられる.津波被災以降,この巨大津波河川遡上に関する研究は行われていが,いまだその全容を把握するに至ってない.本研究では河川における観測津波波形と海域や沿岸部における津波波形とを比較し,河川遡上の特徴を議論した.ただし,河川および沿岸部における津波波形の観測記録は限られており,残さた水位時系列のみにより河川における津波挙動を十分に把握することは困難である.本研究は主に北上川を解析の対象とし,津波波形の解析を行うともに,平面2次元の津波遡上数値計算を実施することでより詳細に河道内おける津波挙動についての議論を行った.これにより,河道内においては引き波時の水位低下が遅く,初期水位まで低下する前に後続の波が入射する.第一波は河川堤防を越流することで河口近くにおいて急激に波高が減衰するが,第二波以降は水深が増加した状態で入射するため,波高の減衰が小さく,上流側において第二波以降に最大水位が生じる可能性がある.また,湾曲部においては遠心力により外岸側の水位が上昇するため,湾曲部外側で越流が生じやすく,また,堤防等の構造物に作用する外力が大きくなる.このように,河道湾曲部おける外岸側の水位上昇が北上川における右岸側堤防の破堤の一因であると考えられるが,詳細な破堤メカニズムやタイミングについてはさらなる調査が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定した通りの成果を得ていることから,上記の判断に至った.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い,研究を遂行する予定である.なお,共同研究者のRoeber Volker助教が昨年度の途中に米国・ハワイ大学に異動したため,メンバーから外れた.ただし,同助教の分担するテーマについてすでに研究成果が出ていることから,分担者の補充は行わない
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