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2017 年度 実績報告書

高分解能土砂災害警戒情報の確率的指標作成と活用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H04417
研究機関神戸大学

研究代表者

大石 哲  神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30252521)

研究分担者 飯塚 敦  神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (40184361)
小林 健一郎  神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (60420402)
阿波田 康裕  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, HQ部門 施設部, 副課長 (80772615)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード土砂災害 / クリティカルライン / ベイズ推定 / 土壌水分 / レーダー
研究実績の概要

本研究では,小規模な土砂災害が頻発している宇宙航空研究開発機構の施設を対象にして,詳細な斜度,雨量,土壌水分量の計測と土/水/空気連成有限要素解析による数値計算を通して斜面危険度を指標化して災害危険度の閾値をベイズ推定法を用いて算出するアルゴリズムを実証する.さらに人工衛星やレーダーなどによって得られる広域的な関連変数と詳細な測定および数値解析との偏差を確率変数とみなして,斜面一つずつの斜面危険度と地域全体の斜面危険度を算出して表示する方法を実装する.実装した斜面危険度情報の向上と活用を図るために,施設管理者などと合同でワークショップを開催して情報の活用についてとりまとめることを目標に研究を行っている.平成28年度はレーダーなどによって得られる広域的な関連変数と詳細な測定および数値解析との偏差を確率変数とみなして,斜面一つずつの斜面危険度と地域全体の斜面危険度を算出して表示する方法を実装した.平成29年度はJAXAの斜面を試験地にして土壌水分量と土壌間隙水圧などを測定するとともに,レーダーに代えて2次元ビデオディスドロメーターを設置してレーダーが計測する偏波情報を算出できるようにして,そのメインテナンスも行った.また,土/水/空気連成有限要素解析による数値計算に加えてスーパーコンピュータで利用可能な粒子法による斜面解析プログラムを実装して,2次元で斜面の状態と崩壊に至るときに傾斜計などに前兆が出やすい場所を推定した.さらに,過去の勝浦市での土砂災害発生履歴を対象に,XRAINによる雨量データを用いて広域の土壌雨量指数を250mメッシュで算出した.また,降雨の他に土砂災害の因子として斜度と人工構造物の存在を加味し,地図上で発生確率を色分けすることで,市民が一目見てわかる土砂災害危険度提供システムを構築した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度はフリーのGISであるQGISを利用して衛星データを整理して土壌雨量指数と詳細な土壌水分量データの比較検討を行った.具体的には,ALOS DEMの対象領域を整理して対象域の地形モデルを作成した.現地TDR土壌水分観測と転倒マス雨量観測を開始して,土壌水分量とCLラインから土砂災害危険度を算出するGISアプリケーションを構築した.さらに,土/水/空気連成有限要素解析による数値計算に加えてスーパーコンピュータで利用可能な粒子法による斜面解析プログラムを実装した.
一方で,レンタルするXバンド偏波ドップラーレーダーの設置準備を行ったが,電波法改正などの影響があって,電波送信免許がおりる見通しが立たなかったため,当初の変更方針通り2次元ビデオディスドロメーター(2DVD)をJAXAの施設内に設置した.それによって偏波レーダーのマルチパラメーターを2DVDデータから算出できるようにした.

今後の研究の推進方策

今後はリアルタイムの人工衛星データをとりこみ,雨量と土壌水分量の観測値のそれぞれの局地偏差も求めて,ある時点での斜面の動的安全度を算出しておくといった確率的変数の取り扱いについて実装する.数値計算の上では,傾斜だけではなく土壌間隙水圧も追加して検討し,土壌間隙水圧として前兆シグナルが出やすい場所を推定する.
また,2次元ビデオディスドロメーターのデータを用いてXバンド偏波ドップラーレーダーと同じ偏波パラメータを算出してXバンド偏波レーダーと同じ値を算出し,電波送信許可が下りてXバンド偏波ドップラーレーダーが使えるようになったときに備える.同時に勝浦独特の大粒の雨の観測のために降水粒子観測装置を導入して大粒の雨が土砂災害に与えるインパクトについても検証する.
土砂災害発生確率算出の精度向上のため,使用する傾斜データをダウンスケーリングし,評価する.また,構築した土砂災害危険度提供地図をもとに災害が発生した時点における各地域の交通能力を算出し,災害時の避難や復旧に役立てる.
最後に,本研究の成果について,一連の定式化の整理と論文化を行う.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Using High Performance Computing for Liquefaction Hazard Assessment with Statistical Soil Models2017

    • 著者名/発表者名
      Chen Jian、Takeyama Tomohide、O-Tani Hideyuki、Fujita Kohei、Motoyama Hiroki、Hori Muneo
    • 雑誌名

      International Journal of Computational Methods

      巻: 14(3) ページ: 1840005~1840005

    • DOI

      10.1142/S0219876218400054

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Proposal of Method of Numerically Manufactured Solutions for Code Verification of Elasto-Plastic Problems2017

    • 著者名/発表者名
      CHEN Jian、HORI Muneo、O-TANI Hideyuki、OISHI Satoru、FUJITA Kohei、MOTOYAMA Hiroki
    • 雑誌名

      Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. A2 (Applied Mechanics (AM))

      巻: 73 ページ: I_165~I_175

    • DOI

      https://doi.org/10.2208/jscejam.73.I_165

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] SPH 法を用いた浸透破壊解析2017

    • 著者名/発表者名
      中道洋平・杉江茂彦・竹山智英
    • 学会等名
      第52回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 溶存気体の気化が真空圧密時の地盤内圧力変化に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      杉山友理・長浦崇晃・竹山智英・飯塚敦
    • 学会等名
      第52回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 先行効果を考慮した弾・粘塑性構成モデルの動的解析への適用2017

    • 著者名/発表者名
      田中直人・竹山智英・飯塚敦・田中麻穂・平田昌史
    • 学会等名
      第52回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 不飽和地盤の液状化強度発現に関する解析的研究2017

    • 著者名/発表者名
      長浦崇晃・杉山友理・竹山智英・飯塚敦
    • 学会等名
      第52回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] SPH 法を用いた仮置き盛土に対する安全性検討2017

    • 著者名/発表者名
      上野山裕己・竹山智英・飯塚敦
    • 学会等名
      第52回地盤工学研究発表会

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公開日: 2018-12-17  

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