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2017 年度 実績報告書

堆積有機物を燃料として発電するヘドロ燃料電池の汎用化技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H04418
研究機関広島大学

研究代表者

日比野 忠史  広島大学, 工学研究科, 准教授 (50263736)

研究分担者 金田一 智規  広島大学, 工学研究科, 助教 (10379901)
TOUCH NARONG  広島大学, 工学研究科, 特任助教 (50707247)
中下 慎也  広島大学, 工学研究科, 助教 (90613034)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード電極 / 電子回収 / 電位分布 / 還元泥 / ミネラル
研究実績の概要

「浄化システムの構築と現地での汎用化実験」ではヘドロの堆積により深刻な状態にある①養殖場を早期に回復させる手段と②持続的に良好な海底環境を改善する手段の2つを同時平行的に実施するために養殖場の再生試験を計画した。2016年に7~9割であった養殖カキの斃死率を2018年には3割以下に低減することを目標として2017年に実験を開始した。沿岸域でのカキ生産環境の再生を目指し、来年度に向けて①早期に、かつ②持続的に効果的な対処法を実行し成果を出していく。具体的な活動として①カキ筏下への必要な量のGCAの散布とSMFCシステム(SMFC+太陽光パネル)を設置して底泥に起因する貧酸素水塊と移流してくる貧酸素水塊からカキ筏を守る。カキの斃死抑制を前提にした斃死機構の解明と斃死量の低減手法の開発に着手している。対象とするカキ筏の設置面積は300m×400mであるが、先行的に(3m×3m)×3セットの試験区間を設置するとともに、空間的にORPモニタリング電極を設置して電位分布と水質変化の関係を分析した。さらに、貧酸素対策としてSMFCで生産した電力によりLEDの点灯→藻類の育成→酸素の生産を実現するLEDシステムを完成させ、貧酸素状態の緩和を行なった。このために、カキ筏下の貧酸素化機構(貧酸素水生成+移流)を見える化できる申請者らが開発した還元物質(ORP)のモニタリング装置と多項目水質センサーを配備し、貧酸素化の過程を空間的に捉え、貧酸素化を阻止するシステムを構築した。斃死率を3割以下に低減することを評価目標とし、SMFCと灰の散布による沿岸域の健全化に取り組むとともに、②灰の有効性、持続性の実証を継続している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画どおり研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

SMFCによる還元化抑制、GCAによるミネラル供給と酸性化抑制効果を相乗的に発現させ、早期にカキ生産場の回復を実現する。灰を構成する酸化物は溶解(ミネラルとOH-の溶出)して、還元化(ORP低下)、底泥の酸生化(pH低下)を抑制する。微生物自らの活動がORP、pHを低下させることから、堆積泥内でのORP 、pHの上昇は微生物活性を維持させることにつながる。SMFCによる電子の回収量の増大は微生物の活性を表しており、電子回収量と電極電位分布(ORP分布)から現地において微生物活性を評価できる手法も併せて確立する。筏下には1m間隔に電極を格子状に配置(2m×2m)したSMFCシステム(有効範囲:3m×3m)を9セット(81電極)およびLEDシステムを設置して(2018年に3セット設置)、底泥に起因して起こる貧酸素化を防止できるシステムを完成する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件)

  • [雑誌論文] Variation in properties of the sediment following electrokinetic treatments2017

    • 著者名/発表者名
      Narong Touch, Tadashi Hibino, Shinya Nakashita, Kenji Nakamoto
    • 雑誌名

      Environmental Technology

      巻: 38 ページ: 277-284

    • DOI

      10.1080/09593330.2016.1190408

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Relaxing the formation of hypoxic bottom water with sediment microbial fuel cells2017

    • 著者名/発表者名
      Narong Touch,Tadashi Hibino,Yuki Morimoto,Nobutaka Kinjo
    • 雑誌名

      Environmental Technology

      巻: 23 ページ: 3016-3025

    • DOI

      10.1080/09593330.2017.1285965

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Solar cell-combined sediment microbial fuel cell for preserving sediment and water environments2017

    • 著者名/発表者名
      Narong Touch,Satoshi Yamaji,Hiroki Takata,Tadashi Hibino
    • 雑誌名

      International Journal of Environmental Protection

      巻: 7 ページ: 37-45

    • DOI

      10.5963/IJEP0701004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 下水系土壌が堆積する内港の干潟域における底生動植物の初期再生過程2017

    • 著者名/発表者名
      日比野忠史,中本健二,宮田康人,三戸勇吾
    • 雑誌名

      土木学会論文集B3(海洋開発)

      巻: 73 ページ: 642-647

    • DOI

      10.2208/jscejoe.73.I_642

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 沿岸域の堆積泥を対象とした示差熱分析手法の確立2017

    • 著者名/発表者名
      高田大貴,森本優希,TIUCH NARONG,中下慎也,日比野忠史
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 73 ページ: 1201-1206

    • DOI

      10.2208/kaigan.73.I_1201

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2018-12-17  

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