研究課題/領域番号 |
16H04419
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
日向 博文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70272680)
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研究分担者 |
入江 政安 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00379116)
高橋 智幸 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40261599)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 津波 / 海洋レーダ / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
目標:レーダの津波計測性能(検知距離や測定精度)の検証には,多くの津波実測データが必要である.レーダ性能は背景ノイズや海面の状態に影響を受けるため,その津波計測性能は統計的に評価されるべきだからである.しかしながら,レーダで検知可能な津波発生頻度が著しく低いために津波レーダ性能検証用の実測データが絶対的に不足しているのが現状である。レーダの津波計測性能を統計的に解析した研究例はこれまでに無い.そこで,本年度において,津波数値シミュレーション結果と和歌山県に配備した津波レーダの観測信号を数値的に合成し,擬似的な津波観測データを作成することで発生頻度の低さに関する問題を解決し,さらに南海トラフ地震が発生した場合を想定し,当該津波レーダの性能を統計的に明らかにすることを目標とした.観測データとしては,まず風浪の最も発達する冬季(2014年2月)を対象とした.なお,この時期,黒潮は離岸流路をとっており,レーダ観測範囲に黒潮および分岐流は存在していなかった. 本年度の成果:本研究では、数値シミュレーションと観測データを合成することでこのデータ不足の問題を克服し、2014年2月(月平均波高が年内で最大、黒潮は離岸流路)を対象としレーダの津波測定精度(検知距離)を統計的に検証することを世界に先駆けて行った。また、その方法を応用し、リアルタムの検知方法についても開発し、3ケースの津波に適応した。その成果は、現在、海外ジャーナルおよび国際会議に投稿し全て受理されているところである (日向ら,土木学会論文集,Fuji and Hinata, Journal of Oceanography; Fuji and Hinata, International Tsunami Symposium 2017; Fuji and Hinata, JpGU-AGU Joint Meeting 2017).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、数値シミュレーションと観測データを合成することでこのデータ不足の問題を克服し、2014年2月(月平均波高が年内で最大、黒潮は離岸流路)を対象としレーダの津波測定精度(検知距離)を統計的に検証することを世界に先駆けて行った。また、その方法を応用し、リアルタムの検知方法についても開発し、3ケースの津波に適応した。その成果は、現在、海外ジャーナルおよび国際会議に投稿し,全て受理されているところである (日向ら,土木学会論文集,Fuji and Hinata, Journal of Oceanography; Fuji and Hinata, International Tsunami Symposium 2017; Fuji and Hinata, JpGU-AGU Joint Meeting 2017). この様に,これまで困難であった海洋レーダ津波測定性能の計測装置を本年度中に開発したことで、次年度以降の面的な津波検知や波高分布推定の性能検証を統計的に行うことが可能となった。また,次年度以降は解析のケースを増やすことで、結果を統計的にまとめレーダ性能を詳細に検証するとともに、空間情報の有効活用をはかり面的に津波を検知していくことが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
初年度において,これまで困難であった海洋レーダ津波測定性能の計測装置を本年度中に開発したことで、次年度以降は,面的な津波検知や波高分布推定の性能検証を行うとともに解析のケースを増やす(2014年2月以外の観測データと合成する)ことで、検知性能を統計的にまとめレーダ性能を詳細に検証していく.また,津波と副振動の漂流物予測に対する影響検証を行い,海洋レーダ情報の防災への活用方策について検討を行っていく.
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