研究課題/領域番号 |
16H04419
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
日向 博文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70272680)
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研究分担者 |
入江 政安 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00379116)
高橋 智幸 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40261599)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海洋レーダ / 津波検知 |
研究実績の概要 |
海洋レーダによるリアルタイム津波検知手法の性能検証を,藤ら(2015)によって提案された仮想津波観測実験に基づいて行った.具体的には,レーダビーム上の3 km離れた観測点間の視線方向流速の相互相関係数を算出し,相互相関係数が平常時における相互相関係数の上位1%,5%,10%,15%に相当する値を超えるかどうかを1分毎に判定した.そして,沖側の隣り合う2つの組合せについても同様に津波検知判定を行い,3つの組合せ全てで相互相関係数が閾値を超えた場合に,最も岸側の観測地点で津波を検知したと判断した.内閣府断層パラメータケース3地震津波の発生時刻を2014年2月1日6:00と仮定し検証を行った結果,津波発生後6分に31.5 km沖合で津波を検知した.また,閾値を低く設定すると津波検知時刻は早くなることが分かった.さらに,この方法の性能を統計的に検証するために,2014年2月1日から2月28日の観測データを使って,様々なS/N比の状態における検知距離を求めた.その結果,検知距離は,海面の状態(波高)の影響を強く受け,有義波高が5.0mを超えた2月27日においては津波検知距離は著しく低下することが明らかとなった.さらに,電離層の影響を受け,昼間には夜間に比較して検知距離が2-3レンジ短くなることが明らかとなった.検知のリアルタイム性については,陸棚上では,wave-front通過後,4分程度(wave-frontの1.5-3.0km程度背後)で津波を検知できることが明らかとなった.陸棚縁から陸棚斜面にかけては.津波検知確率は急激に小さくなるが,これは,推進変化に伴う津波流速の低下が主な原因であると推測された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな津波検知方法を開発するとともに,その性能検証を冬期の観測データに基づいて統計的に行うことができた.津波検知性能に与える影響因子について考察を加えることができた.また,津波の波峰の位置を1局のレーダから推定する方法の開発に着手した.
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今後の研究の推進方策 |
リアルタイムの津波検知手法について,他の季節の観測データを使って検証し,検知性能の変動要因についてさらに詳細に調べる.また,津波の準3次元モデルへの同化を進め,密度変化のある海域での漂流物予測方法を検討する.波峰位置の特定手法を改良するとともに波高推定方法についても検討する.さらに,津波減災に対するレーダデータの活用方針について検討を行う.
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