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2017 年度 実績報告書

多孔質体間隙構造解析とそれに基づく乱れの生成メカニズムの解明に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H04421
研究機関大阪市立大学

研究代表者

重松 孝昌  大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80206086)

研究分担者 中條 壮大  大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (20590871)
麓 隆行  近畿大学, 理工学部, 准教授 (30315981)
竹原 幸生  近畿大学, 理工学部, 教授 (50216933)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード流体力学 / 多孔質体 / Immersed Boundary Method / PTV / 3次元計測 / 屈折率整合法 / 乱流
研究実績の概要

多孔質体を通過する流体の運動は,その空隙の形状に大きく依存すると推察される.昨年度に行ったポーラスコンクリートを対象とした空隙画像計測の結果に基づいて,空隙の水平断面の形状を計測し,ポーラスコンクリートに用いられる粗骨材粒径との関係を論文にとりまとめた.また,予定していた形状計測オプションを購入し,計測パラメーターのチューニングをはかりつつ,空隙形状の計測を試験的に行った.
多孔質体を構成する固体の形状特性による流れへの影響を検討するため,矩形管水路中に設置した単一円柱,単一楕円体,単一球周りの一方向流れ場をPTV計測を行い,乱流特性について検討を行った.本実験によれば,物体背後に形成される後流域中の乱れ特性には,顕著な物体の形状依存性は見られないことが明らかになった.ただし,レイノルズ数の影響および後流域スケールと計測解像度の観点から,更なる検討が必要である状況にある.
多孔質内の3次元流れ場を計測するためには,高精度で計測可能なシステムが必要である.本年度は,竹原が既に開発していたPTVアルゴリズムの3次元化をはかり,画像流速計測法の高精度化・高速度化を図った.改良したPTVアルゴリズムの検証として,X線CTで撮影されたコンクリート供試体内の応力ひずみ計測に適用し,良好な結果を得た.
複雑な境界条件を有する多孔質体間隙部の流れを予測するための数値解析手法の開発には,Immersed Boundary Method(IB法)を適用している.本年度は,IB法を用いて多孔質体流れの計算に適用し,巨視的な圧力降下量や部材の抗力係数の評価が可能であることを示した.さらに,気液界面の追跡モジュールを追加し,固気液混相流場にも適用することが可能となった.また,平板のような厚みのない物体への適用性についても検討を行っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,3本の柱から構成されている.
まず,「(1)多孔質体間隙構造の定量化」については,昨年度に行った多孔質体九九劇形状の3次元計測の結果に基づいて,空隙の平面形状についての検討を行い,多孔質体構成部材寸法と空隙形状との関係について検討を行った.
次に,「(2)多孔質体通過流体の流動計測」については,竹原が既に開発していたPTVアルゴリズムの3次元化をはかり,画像流速計測法の高精度化・高速度化を図った.改良したPTVアルゴリズムの検証は,X線CTで撮影されたコンクリート供試体内の応力ひずみ計測に適用し,実験結果との良好な一致を得るに至っている.多孔質体間隙部を通過する流体運動の計測に先立って,非球形物体周りの流れによって生じる乱れ特性についてPTV計測を行った.0.2mx0.2mの矩形水路中に静止浮遊させた単一球・単一楕円体・単一円柱周りの流れ計測を行った結果,それぞれの物体の背後に生じる乱れ特性に大きな差異は見られなかった.ただし,今後,レイノルズ数や物体静止姿勢による検討が必要である.
「(3)多孔質体通過流体の流動計算」においては,IB法を用いて,球形部材で構成される多孔質体中の数個の部材を人為的に欠落させて非均一な多孔質体を作成し,部材欠損が多孔質体間隙を流れる流体運動に及ぼす影響を検討した.その結果,部材が欠損することによって間隙の形状・寸法が大きく異なる多孔質体においては巨視的モデルを適用することが難しいこと,欠損箇所によって圧力降下量や部材に作用する流体力も異なることを示すに至っている.研究代表者らによる従来の多孔質体流れの検討は,管水路内の現象に限定されたものであるが,このような知見の汎用性の検討には水面を有する流れへの適用性への検討も不可欠である.このような観点から,自由水面の追跡アルゴリズムを追加し,その汎用性を向上させるに至っている.

今後の研究の推進方策

「(1)多孔質体間隙構造の定量化」については,予定していた形状計測オプションを購入して試験的にパラメーターを変更して多孔質体空隙形状の計測を行った.しかし,当該年度で十分な精度での計測結果を得るには至っていない.引き続き,計測手法の検討を行う.
「(2)多孔質体通過流体の流動計測」については,まず,3Dプリンタを用いて作成された実際の多孔質体内の流動計測について,ヨウ化ナトリウム水溶液を利用して3次元流速計測実験を行う.この多孔質体内流動の特徴と間隙形状の局所特性との関係について検討し,平行して行われる数値解析から得られる理想化された多孔質体通過流れとの比較を行う.一方で,非球形物体周りの流れの計測もH29年度に引き続き行い,物体形状・静止姿勢と乱れとの関係性について検討を行う.
「(3)多孔質体通過流体の流動計算」においては,上記の実際の多孔質体構成部材と透過な粒径を持つ球部材で構成される多孔質体を数値計算上で再現し,IB法を用いて,この間隙部を通過する流れの計算を行い,上記(2)で行う実験結果との比較を行う.さらに,非球形部材で構成される多孔質体についても計算を行い,部材形状による間隙を通過する流れの特性について比較・検討を行う.

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] An Experimental Study on the Interaction between Oscillatory Flow and Idealized Porous Bed2018

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Shigematsu, Sota Nakajo, Yuya Okada
    • 雑誌名

      Journal of Coastal Research

      巻: 85 ページ: 981-985

    • DOI

      https://doi.org/10.2112/SI85-197.1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 傾斜壁を用いた鉛直取水設備の渦対策工の渦抑制効果に関する実験的検討2018

    • 著者名/発表者名
      久末信幸、竹原幸生
    • 雑誌名

      土木学会論文集B1(水工学)

      巻: 74 ページ: I_691-I_696

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 100 Mfps image sensor for biological applications2018

    • 著者名/発表者名
      T. Goji Etoh, Kazuhiro Shimonomura, Anh Quang Nguyen, Kosei Takehara, Yoshinari Kamakura, Paul Goetschalckx, Luc Haspeslagh, Piet De Moor, Vu Truong Son Dao, Hoang Dung Nguyen, Naoki Hayashi, Yo Mitsui, Hideo Inumaru
    • 雑誌名

      Proceedings of SPIE, High-Speed Biomedical Imaging and Spectroscopy III

      巻: 10505 ページ: 10505-10506

    • DOI

      10.1117/12.2288861

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 究極の時間分解能のイメージセンサを目指してー10 nsから50 psへー2018

    • 著者名/発表者名
      江藤剛治、下ノ村和弘、竹原幸生、犬丸秀夫、林 直樹、三井 鷹、井口昭彦、三原 勉
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会技術報告

      巻: 42 ページ: 9-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 波動場に置かれた鉛直平板下部に生じる局所洗掘の特性とその対策に関する基礎的検討2018

    • 著者名/発表者名
      中原悠輔,重松孝昌,山野貴司
    • 雑誌名

      土木学会論文集B3(海洋開発)

      巻: 74 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 多孔質体間隙部の微細流動計算と部材欠損が流動及び作用流体力に及ぼす影響の検討2017

    • 著者名/発表者名
      中條壮大,渡辺友哉,重松孝昌
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 73 ページ: I_877-I_882

    • DOI

      https://doi.org/10.2208/kaigan.73.I_877

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] X線CT画像を用いたポーラスコンクリートの空隙形状計測に関する基礎検討2017

    • 著者名/発表者名
      麓隆行, 崎本和秀
    • 雑誌名

      建設用原材料

      巻: 25 ページ: 9-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 揺動する固体周りの高精度気液二流体運動解析手法に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      松本 弘史, 重松 孝昌
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 73 ページ: I_865-I_870

    • DOI

      https://doi.org/10.2208/kaigan.73.I_865

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] An Experimental Study on the Interaction between Oscillatory Flow and Idealized Porous Bed2018

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Shigematsu,Sota Nakajo and Yuya Okada
    • 学会等名
      The 15th International Coastal Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] Turbulent Flow Induced By Oscillatory Circular Cylinder Arrays2018

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Shigematsu and Hiroshi Matsumoto
    • 学会等名
      36th International Conference on Coastal Engineering
  • [学会発表] 多孔質体間隙部の微細流動計算と部材欠損が流動及び作用流体力に及ぼす影響の検討2017

    • 著者名/発表者名
      中條壮大
    • 学会等名
      日本流体力学会年会
  • [学会発表] Ultra-High-Speed CCD Image Sensors for Imaging TOF MS2017

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Shimonomura, Kohsei Takehara, Takeharu Etoh, et al.
    • 学会等名
      11th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials and Devices '17
    • 国際学会
  • [学会発表] 高速ビデオカメラの開発と水表面現象への適用2017

    • 著者名/発表者名
      竹原幸生
    • 学会等名
      高速イメージングとフォトニクスに関する総合シンポジウム2017
  • [学会発表] 5千万枚/秒の超高速ビデオカメラ用イメージセンサーの原理実証2017

    • 著者名/発表者名
      三井鷹、下ノ村和弘、竹原幸生、江藤剛治
    • 学会等名
      高速イメージングとフォトニクスに関する総合シンポジウム2017
  • [学会発表] 1枚の撮像素子で1億枚/秒の超高速撮影ができるマルチフレーミング撮像素子2017

    • 著者名/発表者名
      林直樹、下ノ村和弘、竹原 幸生、江藤 剛治
    • 学会等名
      高速イメージングとフォトニクスに関する総合シンポジウム2017
  • [学会発表] 高速ビデオカメラのユーザーの要望と変遷2017

    • 著者名/発表者名
      高野保英、江藤剛治、竹原幸生
    • 学会等名
      高速イメージングとフォトニクスに関する総合シンポジウム2017
  • [学会発表] スロッシング発生時に傾斜板群に作用する流体力に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      田邊礼佳,重松孝昌,中條壮大
    • 学会等名
      土木学会関西支部年次学術講演会
  • [学会発表] スロッシング挙動に及ぼすプレートの設置条件の影響に関する数値シミュレーション2017

    • 著者名/発表者名
      田邊礼佳,重松孝昌
    • 学会等名
      日本流体力学会
  • [学会発表] 波動場におかれた鉛直平板が洗掘特性に及ぼす影響に関する実験的研究2017

    • 著者名/発表者名
      中原悠輔,重松孝昌
    • 学会等名
      日本流体力学会

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公開日: 2018-12-17  

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