研究課題/領域番号 |
16H04430
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
内田 敬 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60203535)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バリアフリー / ユニバーサルデザイン / 歩行支援 / ITS / RFID / 歩行実験 / バーチャル散歩 / スマホアプリ |
研究実績の概要 |
スマートフォンのGPS機能と情報処理機能を活かして、「ことばの地図」などで視覚障碍者の街歩きを支援するナビシステムの実用展開を目指している。2014年度までの研究成果に、以下の追加、拡充を行うことを目的としている: 1.周辺店舗情報など視覚障碍者のQOL(生活の質)向上に資する情報も含む「ことばの地図」の適地・適時提供をAR(拡張現実)技術で実現する。合わせて、方向定位を支援するデバイス「自律白杖」(簡易ロボット)をシステムに組み込む。2.画面タッチに代わるユーザインタフェースとして、点字を打刻したNFC(近接型無線通信)カードの活用を実現する。3.頻繁なアプリ更新や、ランドマーク記録データの共有、ひいては利用者拡大とナビ対象エリア拡充という正ループの基盤となるクラウド・サービスを実現する。 研究の骨格は、6ヶ月程度ごとに漸進的に繰り返し実施する実験(視覚障碍者が被験者)により成り立つ。2タイプの実験を実施する。(a)狭義の実験(フィールド実験)は大学内・周辺市街地等をフィールドとして実施する。(b)モニター実験は、開発中の音声ARアプリなどを実装した(または、クラウド・サービスに対応した)スマホを視覚障碍者に1カ月間程度貸し出して、日常生活において試用してもらう。 研究第2年度にあたるH29年度は、上記目的1.と3.に関する研究を主に進めた。まず、比較的著名な観光地へのアクセス鉄道駅の近くに居住する視覚障碍当事者(夫妻)の協力を得て、クラウド・サービスで多様な視覚障碍者に共用してもらうことをイメージした街歩き支援の「ことばの地図」を作成した。そして、多様な被験者(視覚障碍者)に適否を評価してもらうために、実験室内で現地観光地を歩行する際に体験する音環境を再現する「バーチャル散歩実験」の施設環境の整備を進め、評価実験を試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究アプローチは、大きくは2つを取ってきた: (a)フィールド実験では、研究者が大学近傍(同一市内)の実都市内で、歩行・沿道環境の多様性を考慮したスタディ地区を設定し、多様な街条件・被験者条件に対して適用できるように「ことばの地図」ガイドラインの改良・検証を進める。 (b)モニター実験においては、研究協力者(視覚障碍当事者)の日常生活圏で試してもらうことで、(a)での想定とは異なる街条件に遭遇する可能性と、その場合の適用性の検証に期待している。また、日常活動の中で、スマートフォン・アプリの使用性について検証する。 上記2アプローチをH29年度前半までは厳密に分けて進めてきたが、同後半からは、融合アプローチを試行した。まず、(c-1)研究者(研究協力する学生)が視覚障碍当事者の日常生活圏をスタディ地区として、視覚障害当事者の代理者として「ことばの地図」を作成した(参与実験)。これは、(a), (b)アプローチのうちの多様な街条件に対応する「ことばの地図」の作成という狙いを直接的に果たそうとするものである。そして、(c-2)作成した「ことばの地図」を居住地や身体特性・嗜好の異なる多様な視覚障碍者に供試するのに、現地に赴くのではなく、研究室内で現地音環境を模したバーチャル散歩実験を試行した。 アプローチ(b)のもう一つの狙いであるアプリ使用性に関しては引き続き、機器貸出モニター実験による。操作性向上の一環として、ナビメッセージをGPS信号とは無関係に再生することを可能とする「予習モード」の実装(ナビ改良)を行った。 上記の通り、研究の進め方は当初計画から変更したものとなったが、変更は、研究目的をより確実かつ高度に達成することを指向したものである。変更はH29年度後半から試行したところであり、現時点では「当初の計画以上に進展」の成否は不明であるから「おおむね順調に進展」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
目的(1)の前半部である「ことばの地図」の適地・適時提供をAR(拡張現実)技術で実現することと、(3)クラウド・サービスの実現に関しては、H29年度後半から採用したアプローチ(c-1)参与実験並びに(c-2)バーチャル散歩実験によって進めていく。 目的(1)の後半部である「自律白杖」(簡易ロボット)のシステムへの組み込むは、当初計画通りに(a)大学周辺に設定する実験フィールドで、検討を進めていく。 目的(2) NFC(近接型無線通信)カードを活用したスマートフォン・アプリの検討も、当初計画通りに(b)モニター実験アプローチで進めていく。
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