| 研究課題/領域番号 |
16H04436
|
|---|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
原田 英典 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40512835)
|
|---|
| 研究分担者 |
藤井 滋穂 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (10135535)
酒井 彰 流通科学大学, 経済学部, 教授 (20299126)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
| キーワード | スラム / 衛生 / 病原性細菌 / 曝露解析 / 下痢症 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では，主要な病原性細菌を網羅的に対象とし，スラムの特殊性を考慮した子供の下痢症シルク解析フレームを構築する。具体的には，ビデオ撮影・画像解析手法によって，課題1．「スラムの子供の指なめ，水遊び由来微生物曝露推計モデルの構築」を実現する。申請者らが構築した次世代シーケンサーを用いた8タイプの病原性大腸菌の一斉同時測定系を拡張することで，課題2．「スラムない汚染媒体中の主要な病原性細菌の一斉同時定量および媒体間比較」を実現する。これらの成果を元に，ベトナムにて構築した確率論的場黒量・下痢症リスク解析モデルを課題1．のモデルと統合し，課題2．の病原絵師細菌データを利用することで，課題3．「確率論的曝露解析モデルに基づく主要な病原性細菌由来下痢症リスクの解析」を実現する。昨年度はバングラデシュ・クルナ市のスラムにて調査を実施し，課題1．に関して，10種類の潜在的な曝露行動についてのビデオ動画の予備収集，日記法による男女3名づつの一日の行動履歴データの予備収集を行った。今後，前者は画像解析手法により，後者は統計的手法により，曝露媒体種類・頻度・接触特性を解析し，スラムの子供の曝露シナリオ作成に利用する。課題2．に関して，曝露媒体間の病原性細菌の比較のため，大腸菌を6媒体（屋外土壌，屋内土壌/埃，池水，ヤギ・アヒル・鶏の糞便）から合計約1300株を採取した。今後これらの病原性を同定し，媒体間の大腸菌の病原性の比較に使用する。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で対象としていたバングラデシュの治安悪化のため，現地調査の実施が危ぶまれたものの，当初予定より遅れて現地調査を実施し，今後の詳細な曝露行動解析のための予備ビデオデータの取得および日記法による1日行動履歴情報の取得を順調に実施できた。また，大腸菌以外の病原性細菌の対象遺伝子の選定まではできなかったものの，予想を上回る数の多様な媒体の大腸菌の単離株を得ることができた。これらは次年度以降の曝露解析および媒体間の病原性細菌タイプ比較に大きく貢献するものである。以上より，概ね順調に進捗していると考える。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本研究では，主要な病原性細菌を網羅的に対象とし，スラムの特殊性を考慮した子供の下痢症シルク解析フレームを構築する。具体的には，課題1．「スラムの子供の指なめ，水遊び由来微生物曝露推計モデルの構築」，課題2．「スラムない汚染媒体中の主要な病原性細菌の一斉同時定量および媒体間比較」，および課題3．「確率論的曝露解析モデルに基づく主要な病原性細菌由来下痢症リスクの解析」を実現する。
課題1．に関して，昨年度にバングラデシュ・クルナ市のスラムでの調査で得た日記法による男女子供3名づつの一日の行動履歴データを活用し，スラムの子供の曝露の基本シナリオを作成する。また，同様に予備的に収集した10種類の潜在的な曝露行動についてのビデオデータについて，今後動画解析を進める。これらより，スラムの子供の生活環境下で重要となる曝露行動をスクリーニングし，特に重要な曝露行動について重点的なビデオデータの収集を進める。これらより，確率論的曝露解析を進めるための曝露媒体への接触の頻度・時間特性を明らかにする。これらに基づき予備的な曝露解析に着手する。
課題2に関して，昨年度に収集した6媒体（屋外土壌，屋内土壌/埃，池水，ヤギ・アヒル・鶏の糞便）計約1300株の大腸菌単離株について，これらの病原性を同定し，媒体間の大腸菌の病原性タイプを比較する。さらに，大腸菌以外のいくつかの病原性細菌についての同時測定のため，対象遺伝子の選定およびプライマーの設計に取り組む。
|
