研究課題
当該研究では，国際的な課題であるスラムにおける子供の下痢問題解決に向け，スラムの子供の下痢症リスクのより正確な推計・解析の実現を目指した。その目標として，1）主要な病原性細菌を網羅的な一斉同時定量と，2）曝露のビデオグラフィー解析，を活用してスラムの特殊性を考慮した子供の下痢症リスク解析フレームを構築することを挙げていた。1）については，次世代シーケンサーを使った8種類の病原性大腸菌の網羅的な一斉同時測定方法を開発し，バングラデシュのスラムに適用し，有効性を示した。さらにこれに，腸チフスおよびパラチフスを引き起こす病原性のSalmonella entericaおよびSalmonella Paratyphi A，コレラを引き起こす病原性のVibrio choleraeの測定を組み合わせ，途上国での主要な水系感染症細菌の効果的な測定を実現した。また，ビデオグラフィー解析であるMLATS（Microlevel Activity Time Series）法による手を介した微生物伝搬の詳細なモデル化に成功し，スラムでの子供の指舐め，遊泳時の水の誤飲による曝露の詳細モデル化を含む，スラムの子供の特殊性を考慮した曝露・下痢症リスクのモンテカルロ法による確率論的解析モデルを構築した。これより，飲料水や食品由来のみならず，遊泳時の環境水の誤飲，および食器の汚染が主要なリスク要因であることを示すことができた。以上，特殊な条件下にある途上国都市スラムを対象に，下痢症リスク構造の理解に大きく貢献した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Vietnam Journal of Science and Technology
巻: 56(2C) ページ: 23-29
Science of The Total Environment
巻: 635 ページ: 120-131
10.1016/j.scitotenv.2018.04.100
Letters in Applied Microbiology
巻: 66(6) ページ: 542-548
10.1111/lam.12878
Sandec News
巻: 19 ページ: 28-28
Proceedings of the 27th Joint KAIST-KU-NTU-NUS Symposium on Environmental Engineering
巻: 27 ページ: 110-117
巻: 27 ページ: 118-124
