研究課題/領域番号 |
16H04441
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
亀卦川 幸浩 明星大学, 理工学部, 教授 (20409519)
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研究分担者 |
井原 智彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
大橋 唯太 岡山理科大学, 生物地球学部, 准教授 (80388917)
高根 雄也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80711952)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 気候変動 / 都市気候 / 空調エネルギー需要 / 相互作用感度 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、都市域での気温と空調エネルギー需要の間に存在するポジティブフィードバックを伴う相互作用の感度(以降PFB感度)について、研究代表者らが開発した都市気候と建物エネルギーの連成数値モデルWRF-CM-BEMによる定量化を目指したものである。大阪・ロンドン・デリー・ジャカルタを対象にPFB感度を定量化した上で、更に4 都市間での当該感度の差異とその要因を解明し、今後の気候変動予測におけるPFB 過程のモデル実装の要否を明確化する事を目的としている。これに関連し平成29年度は以下の成果を得た。 1.対象4 都市について、WRF-CM-BEM検証の為の屋内外気象観測データを収集・整備した。ジャカルタでは17軒の住居を対象に2017年9月中旬~11月初旬に空調・非空調スペースの室温・湿度と各建物近傍での屋外気象を測定した。大阪でも33軒の住居を対象に2017年7月~8月に同様の観測を行った。更に、ロンドンとデリーについては現地の研究協力者より同種の既測定データを入手した。 2.平成28年度に改良し予備検証を行った建物エネルギーモデルBEMを含むWRF-CM-BEMを対象都市域に適用し、1.の観測資料との比較による数値モデルの本格検証に着手した。BEM改良により計算が可能となった建物の階別かつ空調部・非空調部別の室温の再現性等の視点から本検証を進めるも、モデル計算の一部に問題が見つかり、WRF-CM-BEMの検証を次年度の課題として残した。 3.検証が一部未完であるもののWRF-CM-BEMを大阪に適用し、シミュレートされた街区毎の気温と電力需要にもとづきPFB感度を推計した。その結果、大阪都心で最大10%に達するPFBによる夏季電力消費量の実測ベースの押し上げ効果をWRF-CM-BEMは概ね再現可能であった。これによりWRF-CM-BEMによるPFB感度表現の妥当性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度交付申請書の実施計画に沿って研究を進めたものの、平成29年度内に検証を終え本研究の主目的であるPFB感度の定量化に適用する予定であった数値モデルWRF-CM-BEMの検証が未完に終わった。その原因は、本研究で改良した建物エネルギーモデルBEMの計算アルゴリズムに一部問題が見つかり、モデル検証作業を中断した為である。平成29年度末までにその問題点は改善でき、モデル検証作業を再開できたものの、当初予定より半年程度の作業遅れが生じた。この為、進捗状況についてやや遅れが生じていると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者・分担者のメンバー間でこれまでにも増して緊密に連携を図り、進捗に遅れが生じている数値モデル検証の分担課題の研究作業を加速させ、最終年度における研究目的の完遂に向け他課題にも精力的に取り組んでいく方針である。
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