研究課題/領域番号 |
16H04443
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
名和 豊春 北海道大学, 工学研究院, 招へい教員 (30292056)
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研究分担者 |
吉田 行 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 研究員 (10414187)
谷口 円 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 建築研究本部北方建築総合研究所, 主査 (20462351)
胡桃沢 清文 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40374574)
遠藤 裕丈 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 研究員 (60414190)
佐川 孝広 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90621045)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高炉スラグ微粉末 / 凍結抑制剤 / コンクリート / 強度発現 / 凍結融解抵抗性 / スケーリング / 細孔構造 / 気泡間隔係数 |
研究実績の概要 |
H28年度に引き続き今年度の前半で,種々の凍害抑制剤を用いたモルタルとコンクリートによる耐凍害性を検討し,oilと乳化剤を組み合わせた凍害抑制剤は有効であることを確認した。また,2種類の乳化剤(開発品HC25と従来型B)とその構成比が異なる3種類とした凍害抑制剤を用いたコンクリート試験を行った。配合試験では,従来型乳化剤を用いた凍害抑制剤では空気量の調整が比較的容易だったが,その他の凍害抑制剤は空気の巻き込みが多かったため一部の配合で消泡剤を用いた。凍害抑制剤添加コンクリートの材齢28日圧縮強度及びプルオフ強度は,無添加とほぼ同程度以上であり,特に従来型の凍害抑制剤Bを用いたものは1割程度強度が増大した。静弾性係数凍害抑制剤を使用したものは無添加とほぼ同程度であり,凍害抑制剤が圧縮強度や静弾性係数にほとんど影響しないことが確認できた。 一方,JIS A 1148 A法に準じた水中凍結融解試験では,いずれの凍害抑制剤添加コンクリートも相対動弾性係数の低下はほとんどなく,無添加コンクリートと同程度以上の高い耐凍害性が確認された。ASTM C 672に準じたスケーリング試験では,標準的な空気量4.5%程度のコンリートのスケーリング量は,凍害抑制剤の使用により大きく改善された。 凍害抑制剤の作用機構について細孔径分布や気泡間隔係数による検討を行い,凍害抑制剤の添加により耐凍害性と密接な関係にある細孔径75~750nmの細孔量が減少することが確認された。一方,気泡間隔係数とスケーリング劣化との関係は従来の知見と逆の傾向を示し,凍害抑制剤の効果は気泡による効果からは説明できないことが判明した。 なお,高炉セメントコンクリートの初期強度発現を改善する手法として,H28年度に行い効果を確認しているナノ粒子に替わるポリオール系と硫酸塩系の混和剤との併用については,来年度確認することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の成果と合わせて,凍結融解抵抗性改善のための凍害抑制剤としてoilと乳化剤を組み合わせた凍害抑制剤は有効であることを確認した。また,2種類の乳化剤とその構成比が異なる3種類とした凍害抑制剤を用いたコンクリート試験を行い,強度発現や凍結融解抵抗性に関する検討を行い,最適な凍害抑制剤を選定することができた。また,凍害抑制剤の作用機構について細孔径分布や気泡間隔係数による検討を行い,凍害抑制剤の効果は,耐凍害性と密接な関係にある細孔径75~750nmの細孔量の減少に起因することを見出すことが出来た。したがって,本研究はおおむね順調に進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,昨年度の成果である高炉セメントコンクリートの初期強度発現を改善する手法として,ポリオール系と硫酸塩系の混和剤の効果については実施していない。このため,今年度見出した最適な凍害抑制剤とポリオール系と硫酸塩系の混和剤を併用した場合のコンクリートの性能について検討を行う予定である。さらに,C-S-Hなどのナノ粒子を添加した場合の初期強度発現改善について検討を行う予定である。
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