研究課題
梁曲げ降伏型の鉄筋コンクリート造靭性骨組架構の倒壊余裕度を定量化するには、曲げ降伏する梁の限界変形点や大変形領域での耐力低下に関する精度の高い情報が必要となる。そこで計23体の曲げ降伏する片持ち梁を作製し、主筋量(0.93~2.06%)、コンクリート強度(28~68MPa)、シアスパン比(3~6)、横補強筋比(0.26~2.35%)、横補強筋強度(350~750MPa)を実験変数とし、これらを系統的に組み合わせ、耐力低下を確認するまで載荷する静的漸増振幅正負繰り返し載実験を行って,限界変形点や耐力低下点に及ぼす影響を調べる実験を実施した。さらに、耐力低下にいたる崩壊機構の同定や終局限界部材角ならびに、それらを推定するメカニズムを検証することができるよう、試験体の写真の画像処理により局所的変形の遷移を数値化したデータベースを作成した。併せてこれらの試験体と断面・配筋が共通な部材からなる十字形柱梁接合部部分架構4体の試験体を作成し、柱梁接合部の横補強量・柱梁強度比の組み合わせが架構の復元力特性における変形能力に及ぼす影響を確認する静的漸増振幅正負繰り返し載実験を行い、柱梁接合部の影響を検討した。今回実施した実験の範囲においては,シアスパン比と横補強筋量が終局限界部材角に影響を及ぼす主要な因子であり,主筋量、横補強筋強度とコンクリート強度は、限界変形に影響を及ぼさないことが確かめられた。Haseltonら(2008)の示した方法による終局限界部材角の推定値は耐震診断基準による評価や靭性保証型指針による評価より良い対応が得られ、建物全体の倒壊余裕度を定量化のための資料が得られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本建築学会構造系論文集
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https://doi.org/10.3130/aijs.83.1139
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http://www.rcs.arch.t.u-tokyo.ac.jp/shiohara/