研究課題
最終年度は、建物周りの比較的簡易な調査で建物内の放射線量率を一定の精度で予測する方法の確立を目指した。1)空間線量率の予測精度:前年度の成果である仮想線源モデルを用いた解析を検証するため、解析対象建物の屋内外の詳細な放射線空間線量率測定及び、建物周辺の表面汚染密度測定、建物周辺4方位の方向放射線測定を実施した。仮想線源モデルを用いた解析と実測を比較し、解析で屋内の空間線量率分布の再現を確認した。仮想線源のみでは解析結果の絶対値が低くなるため、建物周辺の汚染を調査し、簡易に反映した解析を実施すると、建物外周部の解析結果が実際よりも大きくなる傾向となった。既存建物直近の線源設定に課題を残す結果であり本研究終了後も継続検討を行う。2)解析ツール開発:実用的予測を意図して、BIMによる建築データを放射線解析ソフトに出力するツールを検討し、最終年度は被災地に多い切妻や入母屋造りの木造民家のモデルのデータ連携可能とした。同ツールにて複雑で正確な建物モデルで解析が可能になった。空間定義に一部不具合の出るケースがあるため、これを改善後にツールを一般に公開する。3)地表面の方向放射線の特性把握:周辺敷地の放射の方向特性を把握することを目的に、被災地自治体の協力を得て、避難指示解除区域の3階建て建造物の地上とバルコニーで方向放射線測定を実施した。地上の計測では傾向をつかむことができた一方、バルコニーでは線量率が低く、明確な方向性の測定結果を得ることが難しい結果となった。4)壁試の遮蔽性能に関する実験的測定:試験体を用いた現地測定を計画したが、重量のある試験体を現地に持ち込むこと及び適切な測定場所の選定が難しく実施が困難であった。そこで、これを現地建物の壁を挟んだ内外の測定によって代替した。RC建物および木造建物の外壁内外の測定を行うことで、実測によって構造による遮蔽力の差異を確認した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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