研究課題/領域番号 |
16H04467
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研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
富永 禎秀 新潟工科大学, 工学部, 教授 (00278079)
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研究分担者 |
五十嵐 賢次 新潟工科大学, 工学部, 助教 (20715180)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 積雪分布 / モデリング / CFD / 克雪建築 / 設計支援 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず風による偏分布のCFDモデリング手法の検討として、国内外の研究動向を詳細に分析し、屋根雪モデリングに適用可能なモデリング方法を整備した。また実用的な観点から、定常計算手法(RANS)による異なる設定風速での解析結果を地域の風速発生頻度特性に応じて重みづけ平均する方法を提案し、その有効性を検討した。 さらにCFDモデリング手法の評価のための風洞実験を、防災科学技術研究所・雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所の低温風洞実験室を利用して実施した。モデリング精度の検証のためには、実現象との対応を見極めながら重要となるパラメータを選定やモデル係数のチューニング等を行う必要があるためである。その結果、屋根勾配にかかわらず棟の風上側で侵食が見られ、屋根の風下端でも比較的大きな侵食が見られた。この結果は、今後モデリングの精度を検証するために活用される。また風洞実験を再現した予備的なCFDの結果によれば、積雪深の変化は風上側では摩擦速度の大小と概ね対応しているが、風下側では必ずしも対応しないという興味深い結果が得られた。今後は、この点も課題として検討を進めたい。 またモデル検証用データ収集を目的として、屋根モデルを対象とした建物周りの積雪深及び屋根雪密度等の分布のフィールド実測調査を行った。今冬は降雪量が少なかったものの、実際の降雪を対象とした貴重な観測結果が得られた。今後結果を分析し、モデルの改良や精度検証に役立てていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず風による偏分布のCFDモデリング手法の検討については、異なる設定風速での解析結果を地域の風速発生頻度特性に応じて重みづけ平均する方法を提案し、2段屋根モデルの積雪分布を対象としてその精度を検証することができたことが大きな成果である。 またモデル評価のため、防災科学技術研究所・雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所の低温風洞実験室を利用した実験を行い、貴重なデータを得ることができた。今後は、この結果を用いて、モデル化の方法やモデルに現れる各種のパラメータを最適化する際に活用できるものと期待される。 さらにモデル検証用データ収集のためのフィールド実測調査を行い、基本的なデータを採取することができた。測定方法の検証も含めて、改良を重ねていきたい。しかしながら、今冬は降雪が少なかったことから、十分なデータ量とは言い難い。この点は、来冬、再来冬の実測調査を積み重ねることでデータの充実を図っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、当初計画の方法で研究を推進する予定である。これまでの積雪分布モデリングの研究成果の、より複雑な建物形状への適用性を確認し、必要な修正を加える。また初年度の成果を基に、複雑な建物形状に適用できる形で、パラメトリックスタディによる感度解析を行い、モデリング精度を高める。 またモデリング精度を検討するためには、観測結果との比較・検証が不可欠である。その姿勢を堅守して、信頼性の高い実験か屋外観測を実施することによって、基礎的なデータを蓄積していきたい。
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